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元祖、小さな高級車 「BMC ADO16」を知っていますか?

2019/12/6(金) 7:01配信

LEON.JP

自動車ジャーナリストのレジェンド岡崎宏司氏が綴る、人気エッセイ「クルマ備忘録」。日本のモータリゼーションの黎明期から、現在まで縦横無尽に語り尽くします。

今回のテーマは1960年代初めから1970年代半ば辺りまで生産された英国の小型乗用車、BMC・ADO16シリーズ。 あの、ミニ(ADO15)の成功を受けて開発されたもので、ピニンファリーナがデザイン。オースチン、モーリス、MG、ウーズレー、ライレー、バンデンプラと、なんと6種のブランドで販売されていたという伝説のモデル。その名車を手に入れた時のストーリーをお届けします。

廉価な大衆ブランドから高級ブランドまでカバー

「小さな高級車」といえば、そのものズバリのキャッチコピーを使っていた「トヨタ・プログレ」を思いだす人も少なくないだろう。

でも、僕の頭にすぐ思い浮かぶのは「BMC・ADO16」シリーズ。1960年代初めから1970年代半ば辺りまで生産された英国産の小型乗用車だ。

ミニ(ADO15)の成功を受けて開発されたADO16は、いわばミニの上級シリーズといえるポジションのクルマだが、ピニンファリーナが描いたルックスは多くの心を惹きつけた。

4人の大人が余裕で乗れて、革新性と保守性を巧みにミックス&バランスさせたルックスは、今なお魅力的な輝きを放っている。

ADO16は6種のモデル名で売られたが、一応その名を列記しておこう。オースチン、モーリス、MG、ウーズレー、ライレー、バンデンプラの6種だが、廉価な大衆ブランドから、スポーツブランド、高級ブランドまでをカバーしていたということ。

ふつうに考えれば、こんな展開はあり得ないし、成立しっこないのだが、AD016は成立した。少なくとも僕はそう思っている。

とくに、MGやバンデンプラの成立は、ひとえにピニンファリナのデザインのお陰だろう。

僕はMG を、兄はバンデン・プラ・プリンセスを選んだ

浮気性の僕と兄は、ADO16 にもすぐ魅了され、早々に手に入れた。

僕はスポーティ・ブランドのMG を、兄は高級ブランドのバンデン・プラ・プリンセスを選んだ。

MGは当初1100だったが、後に1300にアップグレード。その流れで、結局、僕は2台のMGを買うことになった。

2台とも中古で買ったが、伊勢丹オート(新宿伊勢丹百貨店の地階にあった)の仲介だったので、共にコンディションは文句なしだった。

1台目の1100はブリティッシュグリーンとオフホワイトの2トーン。これはオリジナルのまま乗った。2台目の1300はオフホワイトのモノトーンだったが、退屈なので塗り替えることにした。

色は深みのあるワイン系の赤とオフホワイトの2トーン。ホワイトの部分も塗り替えた。

お願いしたのは、板金、塗装、磨きの凄腕職人が揃った名門「わたびき」。今も昔も「知る人ぞ知る」存在であり、多くのロールスロイスやフェラーリ等がお世話になっている。

そんな名門工場にMG1300ごときを持ち込むのは抵抗もあったが、伊勢丹モータースとは太いパイプがあったため、喜んで引き受けてくれた。

むろん費用はかかったが、素晴らしい仕上がりは費用以上の満足感を与えてくれた。

赤白2トーンも大成功。街でも多くの人目を引いたし、仲間にも自慢できた。

クルマ仲間に「いいね!」といわれたとき、「わたびきで塗装したんだ」と返すと、「いいね!」のトーンはさらにハネ上がった。

そう、「わたびきで塗装する」ことは、クルマ好きの間では「ステイタス」だったのだ。

ウッドとレザーで仕上げられた内装も、わたびきの塗装に見合うレベルの雰囲気だったし、僕のMG1300は、まさに「小さな高級車」と呼ぶに相応しい装い/佇まいだった。

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最終更新:2019/12/6(金) 9:45
LEON.JP

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