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443km/hで走った最速の新幹線955形「300X」現代に受け継がれる7年の生涯で残したもの

2019/12/6(金) 10:35配信

乗りものニュース

300系新幹線の課題

「300X」こと955形新幹線電車が登場したのは1995(平成7)年のことでした。実はその3年前の1992(平成4)年、300系新幹線電車が営業運転の「のぞみ」として東京~新大阪間を2時間半で結ぶというインパクトとともに、華々しいデビューを飾っています。

前後で顔が違う「300X」反対側の写真

 300系は東海道新幹線で270km/hの運転が可能でしたが、10‰(1000m進むと10m上る計算)の勾配では257km/hまでしか速度が上がらず、力不足でした。また東海道新幹線に点在する半径2500mのカーブでは、250km/hまで速度を落とす必要がありました。300系の性能では今後、航空機が台頭してきたら競争に打ち勝てないという懸念があったのです。

 そこでJR東海は「さらなるスピードとサービスが必要で、そのためには間断なき技術開発が必要不可欠である」として1990(平成2)年から計画を練り始め、5年の歳月を経て955形、通称「300X」をデビューさせました。300Xは営業運転に使用することは一切想定されず、あらゆる試験用に設計された新幹線でした。

詰め込まれた未知の技術

 300Xの先頭の形状は前後で異なり、博多側の1号車は口を尖らせたようなカスプ型、東京側の6号車は300系よりも丸みを帯びたラウンドウェッジ型。それぞれのノーズに当たる空気の流れを観察し、より最適な先頭形状を構築することを狙ったものです。車体にまとわりつく空気は、列車の抵抗になったり渦を巻いて車体を揺らしたりします。これを抑えることができれば乗り心地の向上はもちろん、より少ないエネルギーで高速運転が可能になります。

 外見からはわかりにくいですが、車体の構造も1両ずつ異なっています。新幹線の車両は、限界まで軽くしつつ経済的であることが求められます。300Xは、1枚のアルミ板に骨組みを貼ったシングルスキン構造、2枚の板を段ボールのように接合したダブルスキン構造、航空機などで使われるハニカム構造、さらにジュラルミンをリベットで接合した構造などが試みられ、騒音・振動・重量・製造コストなど多方面にわたって比較されました。

 走行システムも直進安定性能を高めるため、車軸間の距離をこれまでより500mm長くし、一方でカーブをより高速で走行するための車体傾斜装置なども装備されました。

 このように未知の技術を300Xに詰め込み、走り込んでデータを蓄積する。これが300Xに課された使命でした。

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最終更新:2019/12/6(金) 21:37
乗りものニュース

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