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【ロードテスト】ルノー・クリオ ★★★★★★★★★☆

2019/12/7(土) 11:50配信

AUTOCAR JAPAN

はじめに

欧州製コンパクトカーで買うべきは何か。英国市場でいえば、円熟したパッケージを求めるならフォルクスワーゲン・ポロ、とにかく走り重視ならフォード・フィエスタだろう。

【写真】ルノー・クリオVとライバル (21枚)

しかし、必ずしもそれが絶対ではない。非力ながらも楽しく個性溢れるハッチバックを送り出して来たルノーが、それらのベンチマークを脅かす存在となったことも少なくはない。

それは販売面でも言えることだ。まもなく新型が登場すると知られていたにもかかわらず、昨年の英国でのセールスで、クリオは先に名を挙げたライバルたちを凌いだのだ。

肥満気味ながらも愛すべき初代クリオは、1990年にパリ・モーターショーで登場。そこから数えて、今回の新型は5代目に当たる。新型プラットフォームを得て、ツインモーターのEV仕様や、このセグメントでは類のないハンズフリー走行を可能にするレベル2自動運転への対応も行う予定だ。

今や、欧州における販売台数の半数近くはクロスオーバー車が占めている。背の低いスタンダードなハッチバックは劣勢だ。そんな中、ルノーはなじみあるデザインを踏襲しながらも、このクリオを全面的に刷新したのである。

結果、新型クリオは実に魅力的なクルマに生まれ変わった。インテリアの質感も大きく引き上げられている。マルチメディア方面のテクノロジーもまた充実し、それでいて価格はポロよりずっと安く、フィエスタさえも下回る。もちろん、クロスオーバー系モデルより低価格だ。

しかし、オートカー的に注目したい要素はほかにある。新型は、先代モデルより軽量化されながら、剛性は高まっているのだ。ここまで挙げてきた利点に加え、賞賛すべき走りも身につけているのだとすれば、このクラスの王座奪取は確実。はたして、新チャンピオンは誕生するのだろうか。

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

2009年、ローレンス・ヴァン・デン・アッカーがマツダからルノーへ移籍し、デザインディレクターに就任。彼はミドシップのコンセプトカーであるデジールで、その名を世界中のクルマ好きに印象付けた。

このオランダ人デザイナーのドラマティックな作品は、デザイン的に大成功だったといえる。なにしろ、そのパワフルなルックスのファクターが、10年後にデビューしたクリオにさえ盛り込まれているのだから。

その顔は、メガーヌにも見られるモチーフを持つLEDヘッドライトと、よりアグレッシブなエアインテークを組み合わせるが、基本的にはデジールにインスパイアされた4代目のコンセプトを踏襲。そうなった理由は、説明するまでもないだろう。

とはいえ、ディテールに目を向けると新しさに満ちている。ルノー/日産/三菱アライアンスが共同開発した新規プラットフォームのCMF-Bを採用したのに合わせ、もちろんボディパネルは全面刷新。そのCMF-B、実用化されるのはこのクリオが最初となる。先述したように、電動化や自動運転への対応が想定されたコンポーネンツだ。2020年にはハイブリッド仕様のEテック・クリオが投入される予定で、さらにPHVの導入も検討されている。

ホワイトボディは先代より22kg軽量化され、それは完成車の重量にも反映されている。寸法では、全長が14mm、ホイールベースが6mm、それぞれ先代より短い。全高も6mm低くなったが、肥大化が進んでいる昨今では、それくらいの縮小に問題はない。むしろ、あるべきサイズに戻ろうとする動きだといえる。

ちなみに、次期RSバージョンはピュアEVになるとも、メガーヌRS用1.8Lターボのデチューン版を積むともいわれている。いずれにせよ、きわめて魅力的なホットハッチになることは期待していいはずだ。

現状でラインナップされているエンジンは、そのボディと同じくダウンサイジングされたもの。初心者ドライバーなどをターゲットにしたエントリーモデル向けに用意したのは、72psの1.0L自然吸気。そのターボ版となるのが、今回テストする100psの1.0TCe。最上位機種は、131psの1.3TCeだ。

このTCeと銘打たれたガソリンターボユニットは、提携先のダイムラーと共同開発したもの。ダイムラーではメルセデス・ベンツAクラス、ルノーではダチア・ダスターにも搭載している。

トランスミッションは、1.3TCeにのみゲトラグ製のDCTを組み合わせる。1.0Lガソリンは5速、85psのディーゼルは6速のMTが標準装備で、1.0TCeにはCVTがオプション設定される。

サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビーム。コスト面の制約が大きいこのクラスでは、常識的なセットアップといえる。とはいえ、ベーシックなハッチバックで乗り心地とハンドリングのみごとなコンビネーションを実現するのは、伝統的にフランス車メーカーの十八番だ。

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最終更新:1/5(日) 23:02
AUTOCAR JAPAN

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