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タイラギ8季連続休漁…先見えず深まる苦悩 漁業者「せめて原因究明を」

2019/12/7(土) 13:45配信

佐賀新聞

 有明海の高級二枚貝・タイラギの8季連続の休漁が決まった。タイラギを生活の糧としてきた藤津郡太良町の漁業者らは、8年も漁ができない事態に苦悩が深まる。豊かな海を知るだけに諦めるに諦めきれず、「せめて、タイラギがいなくなった原因を明らかにしてほしい」と訴える。

 今季の漁を話し合う11月29日の福岡・佐賀両県有明海潜水器漁業者協議会は、両県の代表が面談してすぐに終了した。事前の生息調査で成貝がほぼゼロと判明し、漁の断念を確認するしかなかった。

 佐賀県有明水産振興センターの10月の調査では、有明湾奥55地点でタイラギの成貝が確認できたのは1地点だけ。個数も2個で、漁の目安の100個には遠く及ばなかった。過去3年も1地点で成貝を確認しただけ。関係者からは「タイラギはもう絶滅したのではないか…」との悲鳴も上がった。

負のスパイラル

 タイラギの現状について、同センターは「天然の貝は突如、急増することもある」として絶滅は否定するものの、「全体の個体数が大幅に減り、復元力が弱っている。海況の悪化も加わり、負のスパイラルに陥っている」と説明する。

 20年ほど前から、貝が一斉に死ぬ「立ち枯れ斃(へい)死(し)」も発生。貝減少の理由について、同センターは海底の泥の堆積、海の貧酸素などの海況変化、ナルトビエイによる食害などを挙げるが、「原因は複合的で、特定は難しい」と話す。

 タイラギの突然の消滅は、この漁で生計を立ててきた太良町大浦地区の漁業者を直撃している。

 タイラギの水揚げは、1975年度の1754トンをピークに、以後、増減はあるものの、98年までは3桁、減っても2桁を維持してきた。それが99年度にゼロに転じ、その後はゼロが目立つ。この20年で10トン以上の水揚げがあったのは3季しかない。

技術継承できず

 60代のベテラン漁業者は「タイラギで何十年と生活してきたのだから、言葉にならない」と嘆息する。99年度以降、今回の8季連続を含め14季休漁で、出漁したのは7季だけ。海底の貝を採る特殊な潜水漁だけに、「若手に技術を伝えたいが、漁自体がないためにお手上げだ」と話す。

 有明海漁協大浦支所に所属する組合員は235人。大半がタイラギ漁をしていたが、休漁続きで、約半数は全国の港湾の潜水工事に従事、残り半数はコハダ漁など他の漁をほそぼそと行っているという。

 1997年の諫早湾干拓事業による堤防閉め切り後にタイラギが激減したため、肌感覚で同事業を原因と考える漁業者は多いが、長引く裁判で開門調査も困難な状況。国や沿岸4県が取り組む有明海の資源回復事業は、一部で成果の出たアゲマキなどと違い、タイラギの生態は特異で「種苗生産などは数段、難しい」(水産振興センター)といい、成果は出ていない。

 先行きが全く見えない状況に、弥永達郎・有明海漁協大浦支所運営委員長は「何としてでも、タイラギが採れる海に戻してほしい。今までのやり方を見直してほしい」と抜本的な対策の必要性を訴えている。

最終更新:2019/12/7(土) 13:45
佐賀新聞

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