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SCAI THE BATHHOUSEでジェームス・リー・バイヤース展「奇想詩」が開催。ギャラリーの設立30周年を記念

2019/12/8(日) 8:03配信

美術手帖

 前身である株式会社白石コンテンポラリーアート時代を含め、今年で設立30周年を迎える東京・谷中のSCAI THE BATHHOUSE
。これを記念して、オープン時に個展を行うなど、公私にわたって同ギャラリーにゆかりの深いアーティストであるジェームス・リー・バイヤース(1932~1997)の個展「奇想詩」が開催される。会期は2020年1月24日~2月29日。


 美学と心理学を学んだ後、60年代には京都とニューヨークを往復し、70年代の放浪的な生活を通じて独自の神秘思想を深めたバイヤース。理想的なフォルムと「完璧」を生涯にわたって追い求めたその作品は、彫刻やパフォーマンス、文学に融合し、美学の古典的な形式を参照しながら、ものの存在という不思議な存在に目を向けている。

 本展では、バイヤースが来日時に制作した作品とともに、その哲学を象徴する代表的な作品を展示。なかでも表題作《The Poetic
Conceit(奇想詩)》(1983)は、暗幕で覆われた壁面に飾られた詩人・ゲーテの肖像をはじめ、限られた素材で演劇的に組み立てられたインスタレーション。バイヤースの瞑想的なミニマリズムとゲーテの時代精神が交差する本作は、バイヤースの哲学的理念や歴史に対する崇敬、そして新しいコミュニケーションのかたちの純粋な希求を表す記念碑的な作品と言える。

 そのほかにも本展では、木枠のガラスケースにギリシャ・カヴァラ島産の大理石が、それぞれ円形や立方体など幾何学的な形状に整えられて並ぶ《The Figure
in
Question(問われる形状)》(1989)などを展示。深遠な精神性を湛える彫刻インスタレーション、時を止めるようなパフォーマンス、個人的に送られた親密な手紙の数々など、様々な方法で欠落した世界における「完璧」という不可能な夢を体現したバイヤース。全作品を貫くそのテーマは、それぞれの作品によって差し出される問いそのものの形式美に特徴づけられる。

 設立30周年の節目に、「存在」に関する哲学的な問いを美術の中枢に据えたその理念に立ち返り、バイヤースを回顧する本展。なおこれにあわせて、天王洲のSCAI
PARKでは同ギャラリーを代表する、もしくはゆかりのあるアーティストの作品を集めた展覧会が(2020年1月17日~2月8日)、駒込倉庫では同ギャラリーの若手作家をメインとしたグループ展が(1月25日~2月8日)がそれぞれ開催される。こちらもあわせてチェックしたい。

最終更新:1/17(金) 12:13
美術手帖

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