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ブガッティEB110の生い立ちから終焉までを見届けた人物が語る真実

2019/12/8(日) 18:00配信

octane.jp

EB110の生い立ちから終焉までを見届けた人物がジャンニ・シギノルフィだ。彼にとっては、ブガッティの倒産は未解決のミステリーだという。 現在、65歳になるジャンニ・シギノルフィは、アルティオーリが率いるブガッティの創立直後から在籍していた人物だ。"新生ブガッティ"倒産後、仲間とカンポガリアーノ工場の近くで、Bエンジニアリングを設立した。業務内容はEB110のメンテナンスだ。現在、EB110を最も知り尽くした整備工場として名を馳せている。つまりは現在に至るまでEB110に携わっている生き字引のような存在なのだ。

1991年12月から1995年9月まで生産されたEB110は合計140台。102台が生産されたGTのうちの2台はSSにアップグレードされ、SS自体は38台が生産された。

「インテリアの材質、色、ホイールなどほとんどがオーダーメイドだったので、同じ車は2台ありませんし、私はすべて覚えています」とシギノルフィは語った。
 
彼はマセラティで20年間過ごしたあと、新生ブガッティにテストドライバー/新型車開発責任者として入った人物だ。後に生産ライン責任者を務めたからこそ、140台をすべて覚えている。

「EB110にとって最大の敵は、エンジンルーム内の熱です。だからリアセクションにはあらゆるところにエアインテーク/アウトレット用の穴が設けられています。また、EB110オーナーはリアスポイラーがちゃんと作動するか、たまにチェックしなければいけません。リアスポイラーがせり上がるとリアのスタビリティが増すだけでなく、エンジンルーム内の熱を逃がせるのです」
 
しかし、そのほか"典型トラブル"といったものはないというから失礼ながら、驚く。「ブガッティが倒産した後、工場にストックされていた様々なパーツを買い取りました。当時の私にとっては大金で、たいへんな思いをして買ったものです。特にエンジンは5バルブなので、将来的にいろいろトラブルが出るだろうと見込んだのです。ところが、当時のエンジンパーツはほとんど残っています。喜ぶべきか悲しむべきか、見込んでいたほどエンジントラブルがないのです。先日、エンジントラブルで入庫したEB110は、オーナーが飲酒運転で1速のまま走り続けた、というものでした(笑)」
 
ブガッティ倒産の日、シギノルフィはたまたまル・マンに向けてレースカーを積載車に積み込んでいた。そう、生き字引は偶然ではあるが、倒産の日も立ちあっていた。

「土曜日の朝、7時半ですよ、裁判所の職員が突然やってきたのは。すべてが差し押さえられて、ル・マンどころではありませんでした。その時点でEB110のオーダーは20台入っていましたし、莫大な借金があったわけでもないのです。現に退職時には、ちゃんと従業員に給与と退職金も支払われました。銀行ローンはすべて返済され、一部の債権者だけ3割の返済となったようです。でも今、どの自動車メーカーも借金を一括返済するという状況に陥ったら、ここまでしっかりとは支払えないと思います。個人的にはあの倒産、借金ではないところに理由があるように思えてなりません」とミステリアスなことも語ってくれた。
 
上場を目論んでいたブガッティ、それに絡んだ有象無象の投資家たち、スリリングな経済小説が書けそうだ。シギノルフィの勘違いなのか、真相が明らかになるのか、真相は闇に葬られるのか気になるところだ。

Octane Japan 編集部

最終更新:2019/12/8(日) 18:00
octane.jp

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