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人前でうまく話せるようになるための「会話術」

2019/12/9(月) 12:11配信

マイナビニュース

悩み多きビジネスパーソン。それぞれの悩みに効くビジネス書を、作家・書評家の印南敦史さんに選書していただきます。今回は、禁煙したくてもタバコミュニケーションなどを理由に、人前で話すのが苦手だと悩んでいる人のためのビジネス書です。

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■今回のお悩み

「人の前で話すのが苦手です。上手くなるにはどうしたら良いですか」(55歳女性/事務・企画・経営関連)


「人前で話すのが苦手」

「うまく話をまとめて伝えることができない」

「人に伝えるのが下手」

たとえばこのようなお悩みをお持ちの方は、決して少なくありません。事実、こういう連載を続けていると、このことに関するご相談は定期的に目にします。

つまりそれは、話すことに苦手意識を持っている方は相当数いるということにほかなりません。しかも一時の流行のようなものではなく、いつの時代にも多くの人を悩ませる問題であるともいえるでしょう。

あえて極端な言い方をすれば、人間が人間である以上、なくなることのない悩みだとも解釈できるのです。

しかも悩んでいらっしゃる当人は、「自分だけが劣っている」というふうに考えてしまいがちです。だから余計にうまく話せなくなり、話すこと自体を苦痛に感じるようになっていくのではないでしょうか?

でも現実問題として、話すことにコンプレックスを感じている人は少なくないのです。多かれ少なかれ、たいていの人は苦手意識を抱えているといっても過言ではないかもしれません。

とはいえ、それはあくまでも一般論。悩んでいる方にとっては、「そんな理屈はどうでもいいから、とにかくこの状況をなんとかしたいんだ」というお気持ちだろうと思います。

ということで数ある「会話術」関連書籍のなかから、すぐに役立てることができそうな3冊をご紹介することにしましょう。

会話の「えーっと」をなくすには?

スピーチにしても会話にしても、伝えたいことがうまくまとまらなかったり、あるいは緊張していたりすると、<えー><あー>などと口にしてしまうことはあるものです。

しかし、この<えー><あー>をなくすだけで話し方は格段にレベルアップすると断言しているのは、『スピーチや会話の「えーっと」がなくなる本』(高津和彦 著、フォレスト出版)の著者。スピーチトレーナーとしての豊富な実績を軸に、<えー><あー><えーっと>が出るメカニズムを分析し、その正し方やトレーニング法を解説しているのです。

ちなみに本書では<えー><あー><えーっと>を、学術論文などでも用いられているという「フィラー(filler)」という単語でまとめています。「詰め物」「つなぎ」といった意味ですが、単語や文節、文章の「合間に挟み込むことば」をも意味するのだそうです。

そんなフィラーを出さないための方法のひとつとして、著者は「5W1H」でネタを探すことの重要性を説いています。「いつ」「どこで」「誰が」「なにを」「なぜ」「どのようにして」のなかから、パッと頭に浮かんだことがらを話す方法。

とはいっても、5+1=6も言う必要はないのだとか。1Wだけでも、2W、1W+1Hでも、咄嗟に頭に浮かんだものだけでいいというのです。


たとえば、「私はベストスピーカー講座で教えています。みんな1日でベストスピーカーになります。…………」と、言葉に詰まった場合は次のように展開します。

「昨日は東京で開催しました。正確に言うと東京国際フォーラム、有楽町駅の目の前です。新幹線からも見えます」

これは「いつ」と「どこで」を使ったパターンです。(130ページより)


このように、1つずつでいいということ。政治や社会の話、生き方、人生論のような抽象度の高いテーマだと、事前に相当練らなければいけません。しかしこういう話題なら、自分のことなのでいくらでもネタを掘り出せるわけです。

そして当然、この手法は講演やスピーチのみならず、日常会話にも充分応用できることでしょう。

ロジカルに話すちょっとした工夫

「話がうまく伝わらないのは、性格のせいでも人望がないからでもない」と断言するのは、『「お前の言うことはわけがわからん! 」と言わせないロジカルな話し方超入門』(別所栄吾 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者。

「ロジカルに話すこと」ができるようになれば、すべてが解決するということ。といっても難しいことではなく、「ちょっと工夫するだけ」で説得力はぐんと上がるというのですから利用価値は大きそうです。

魅力的なのは、1項目=1見開きの構成になっている点。「完璧な根拠の作り方」「共感されるストーリーの作り方」「刺さるメッセージの作り方」「伝わる構造の作り方」と4章に分けられたすべてが、それぞれ簡潔に説明されているのです。

たとえば「伝わる構造の作り方」内の「必要最低限の情報で伝える」には、「細かな情報を列挙されると、不要な情報で重要な情報が埋もれます」とあります。そんなときは、まずゴールを示し、執拗最低限の情報で説明すればよいというのです。


例:市役所までの道案内


×:まず、この道をまっすぐです。しばらくするとファミレスの横に川を渡る橋があって、本当はそっちが近道なんですけど、多分その道だと迷っちゃうと思うので、そのまま道なりに行ってください。しばらく行くと、左手にコンビニが見えてくるので目印にしてください。コンビニの先の交差点を右に…………

○:こっちの方向に向かって車で10分くらいです。途中、2回だけ曲がります。曲がる箇所は、ローソンの先の交差点を右と、公園の脇の交差点を左です。(121ページより)


ポイントは、話す前に伝えたいことを整理し、必要最低限の情報を伝えること。たしかにそうすれば、伝えやすく、伝わりやすくなるかもしれません。

伝わり方が変わる秘訣は「語彙力」

ところで、話すのが苦手なのだとしたら、そこに「語彙力」が影響している可能性も考えられます。だとすると、語彙力さえあれば、伝わり方も格段にアップするかも。

そこで最後にご紹介したいのが、『見るだけで語彙力UP!大人の「モノの言い方」ノート』(佐藤幸一 著、総合法令出版)。公の場で役立つ大人の「言い方」を、シチュエーション別に実例を用いて解説した実用的な書籍です。

つまりは状況に応じ、すぐに役立てることができるわけです。一例として、角が立たない「断り方」をご紹介しましょう。


●引き受けられないと断るとき


NO:お受けしたいのは山々ですが……

YES:結構なお話ですが……


実例:結構なお話ですが、今回はお受けすることができません。


POINT:「今回は」と合わせて使うことで、「今のタイミングでなければできる」という可能性を残した断り方です。(52ページより)


●やむを得ず対応できないとき


NO:恐れ入りますが……

YES:やむなくお断りさせていただきます


実例:ご依頼につきましては、やむなくお断りさせていただきます。


●やんわりと断りたいとき


NO:お断りします

YES:せっかくですが、お気持ちだけありがたく頂戴します


実例:せっかくのお話ですが、お気持ちだけありがたく頂戴します。

POINT:相手の申し出に敬意を示し、誠意を伝えた上で断る言い方です。(54ページより)


このように、シチュエーションに応じた「言い方」が具体的に明示されているわけです。おすすめなのは、時間が空いたときにパラパラとページをめくり、目についた箇所をチェックする習慣をつけること。

些細なことだと思われるかもしれませんが、そうした習慣が意外なところで役に立つのです。そして、そんな経験が積み重ねられていくと、いつか必ず自信につながるはず。


先にも触れたとおり、大半の人は話し方にコンプレックスを持っているもの。だからこそ大切なのは、「そんなものだ」と受け取り、「そこからなにをすべきか」を考えることなのではないでしょうか? そしてそんなとき、これら3冊はきっと力になってくれると思います。


著者プロフィール : 印南敦史(いんなみ・あつし)

作家、書評家、フリーランスライター、編集者。1962年東京生まれ。音楽ライター、音楽雑誌編集長を経て独立。現在は書評家としても月間50本以上の書評を執筆中。『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)、『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『プロ書評家が教える 伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)ほか著書多数。

印南敦史

最終更新:2019/12/9(月) 12:11
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