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MAZDA3 一番上のエンジンと一番下のエンジン

2019/12/9(月) 11:00配信

ITmedia ビジネスオンライン

 自分でも、何回書いたかよく分からないMAZDA3とSKYACTIV-Xのコンビである。主な記事を振り返ってみるとこんな感じだ。

火花点火(SI)と予混合圧縮着火(HCCI)。プラグで着火された混合気が燃焼室外周へ向かって燃え広がるのがSI。圧縮で気体温度が上昇し、発火点に達して混合気が一斉に燃えるのがHCCI

・2017年にSKYACTIV-Xの技術説明会についての記事
・同年にドイツで行われたMZADA3+SKYACTIV-Xの開発途上プロトタイプ試乗会

・北米/欧州仕様のカリフォルニア試乗
・SKYACTIV-Xの世界デビュー試乗会はドイツ
・国内仕様の初試乗では先行発売したディーゼルとガソリンをクローズドコースで

 ということで、SKYACTIV-X(以後冗長なのでXと略す)とMAZDA3のことはすでに書き尽くした感もあるのだが、国内仕様の試乗会に行ってみたら思わぬ伏兵が待っていた。今回の試乗会の主役はXだったはずなのに、いきなり予定調和が崩れる。SKYACTIV-G 1.5を積んだクルマが素晴らしかったからだ。箱根で行われた試乗会では、乗る人乗る人に「1.5良いねぇ」と言われまくったマツダの人達は、極めて複雑な表情だった。

一番上のエンジンと一番下のエンジン

 「なんで今更SKYACTIV-G 1.5なの? もうとっくに納車されて毎日乗ってるけど?」という読者もいるだろう。実は国内クローズドコースで行われた試乗会の時、1.5が用意されておらず、広報車配備の予定もないというマツダの説明に、ジャーナリストの一部からもの言いがついた。「売ってるクルマのユニットは全部用意すべきじゃないですか?」。いやそれはもっともなのだけれど、申し訳ないことにその時点では筆者はそれほど関心を持っていなかった。

 気持ちがすっかりSKYACTIV-Xに行ってたからだ。そういうところは、機械好きの良くない点だとちょっと反省している。そもそもXの欧州仕様にはすでに乗っているではないか。ただ、まさか1.5Gがあんなに良いとは思っていなかったのだ。

 いや主役のXだって、決して悪くないというか、むしろ素晴らしかった。1.5の話はちょっともったい付けて先にXの話をしよう。そもそもこのエンジンは、世界の自動車エンジニアが競い合って開発を続けてきた夢の予混合圧縮着火(HCCI:Homogeneous-Charge Compression Ignition)エンジンだ。マツダはその圧縮の制御因子として点火プラグを使い、HCCIの変形種である火花点火制御圧縮着火(SPCCI)という方式を編み出し、世界で始めて実用化した。

 理屈の話を始めるととんでもなく長くなるから、過去記事を読んでもらうとして、まずはエンジンフィール・チェックの前提条件を考えることから始めよう。

 仕組みからいって、どうやっても走行中に燃焼の切り替えが必要だ。つまり普通に火花から延焼させて混合気を燃やすスパーク・イグニッション(SI)領域と、火花が作った火球によって圧縮された周辺の混合気が圧縮着火に入るSPCCI領域の2つのケースでは、根本的な燃焼理論が切り替わる。それが運転中のクルマの、いやエンジンの、もっといえば燃焼室で連続的に起きるのだ。

 新発明であるこの方式の動作の切り替わりを、スムーズにつなぐノウハウなんてこの世にあるはずも無いので、それを徹底して考え、実験し、問題を解決していかなければならなかった。そういうエンジンの世界第1号が今回MAZDA3に搭載されたわけだ。そういうものが、100年間技術を積み重ねてきた普通のエンジン同様に扱えること自体が奇跡である。にもかかわらず、その出来は非常に良かったのだ。

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最終更新:2019/12/9(月) 11:00
ITmedia ビジネスオンライン

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