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ノーベル化学賞 吉野彰×久美子夫妻 初インタビュー「『家でゴロゴロ』は大切な時間」

2019/12/9(月) 12:00配信

婦人公論.jp

◆「家でゴロゴロ」はとても大切な時間

妻 私たちが出会ったのは京都だけど……、実のところ、この話はあまり触れたくないのよね。(笑)

夫 気恥ずかしいからね。私が京都大学の学生で、あなたが京都女子大の学生。当時は、大学の1年2年の間は、できるだけ専門以外の教養を身につけなさい、という時代だった。だから化学とはまったく畑違いのことをやろうと思って、考古学研究会に入ったんだ。

妻 私も考古学に興味があって。

夫 サークル活動は学校どうしの交流があるので、そこで知り合った。

妻 学生時代からおつきあいが始まった、ということらしいです。(笑)

夫 大学院の修士課程を終えて、就職して、結婚したのは2年目くらいか。研究者には、大学で研究を続ける道と、民間企業で研究開発をする道がある。研究そのものは共通する部分もあるけれど、企業の場合、それを製品として世の中に出し、それが広まった結果、世界が変わっていくという理想がある。私は迷った末、そちらの夢を選んだわけだ。

妻 私は自分の夫が世界を変えるような研究をしているなんて、つゆほども思っていませんでした。(笑)

夫 いや、別に「ワシが世界を変えた」なんて、まったく思っていない。試行錯誤の末やっとリチウムイオン電池の開発に成功したものの、しばらくは販路が広がらず、苦しい思いもした。ところがモバイルITの時代が始まって、爆発的にリチウムイオン電池の需要が広がり、パソコンも普及。世界がどんどん変化していく潮流のなかで、必要なものを自分が用意できた、という感じかな。

妻 若い頃は、終電で帰ってくることもありました。

夫 どうしても手が離せない時は、研究室や会社近くのホテルに泊まり込むこともあったね。でも原則として、土日は休もうと決めていた。やっぱり生活のメリハリは大事だから。研究開発というのは、決して順調な時ばかりではない。結果が出せないことのプレッシャーも大きい。

執着心というか、「なにがなんでもがんばるぞ」という面は絶対必要だけど、人間、それだけではメゲてしまう。人というのは、案外脆いからね。でもまぁ私は大阪生まれですから、「なんとかなるわい」てなもんで。そういう能天気な部分も必要。大事なのは、その2つのバランスだね。

妻 だから家では仕事から離れて、いつもゴロゴロしている。(笑)

夫 そうそう。ゴロゴロもすごく大事なんだよ。土曜日は夫婦で一緒にテニスをして、日曜日はゴロゴロ。

妻 テニスは今も続けているし、2人でテニス合宿に参加しています。

夫 まぁ、平日も練習できるあなたには勝てませんな。(笑)

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最終更新:1/15(水) 12:36
婦人公論.jp

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