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ノーベル化学賞 吉野彰×久美子夫妻 初インタビュー「『家でゴロゴロ』は大切な時間」

2019/12/9(月) 12:00配信

婦人公論.jp

◆ノーベル賞授賞式はぜひ孫に見せたい

妻 うちは娘2人と息子1人に恵まれたけれど、子どもにとっては、いい父親だったと思います。

夫 子どもが中学生の頃まではけっこうよく一緒に遊んだし、年に1、2回は家族旅行に出かけたしね。子どもたちにはあまり干渉せず、自由に、自分のやりたいことを見つけたらいいと思っていた。

妻 基本、あなたは優しい人。頑固な面もあるけれど。

夫 頑固かなぁ。

妻 身体のことを心配して緑黄色野菜を食べるようにいくら言っても、よけるじゃない。

夫 あぁ、そういうことか。(笑)

妻 そして、孫にはすごく甘い。長女のところに5歳と2歳の女の子がいて、ベタッ可愛がり。

夫 孫は気楽でいいねぇ。教育責任がないから。

妻 12月に行われるストックホルムでの授賞式も、どうしても孫に見せたいというので、連れていくことにしたのよね。

夫 私が受賞したことは、わかっているのかな。

妻 上の子は、「じぃじがテレビに映っている」って、キャーキャー騒いでいたみたい。

夫 そんなわけでストックホルムには、長女一家と、長女の夫のご両親、次女夫婦、そして私の妹夫婦も一緒に行きます。IT関連の仕事をしている息子は長期休暇が取れず、断念せざるをえなかったけど。

妻 授賞式のことを考えると、今から緊張してしまいますね。

夫 私は、和服は絶対に似合わないから、洋装。

妻 私は新たに訪問着を注文しました。海外の方は華やかな柄を好むと聞いて、ちょっと派手な柄にして。

夫 準備については、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典博士とご夫人が、ストックホルム事情などを伝えたいからとご連絡をくださって、先週2人でご自宅を訪問したよね。

妻 あれは本当にありがたかった。

夫 私の一番の心配事が晩餐会の後のダンスだったんだけど、出なくてもいいと聞いて安心したし。あと、晩餐会ではトイレに行けず、4時間我慢しなくてはいけないとか。

妻 あと、日本へのお土産は何がいいかも教えていただきました。定番のメダルチョコと、紅茶がおすすめのようです。

◆産業界の立場から語れることも

夫 これから先、私には常に「ノーベル賞受賞者」という肩書がついてまわります。その責任は大きい。最近よく言われるのが、基礎研究に予算がつかないという問題。これを大学関係の方が言うと、身内のことをグチグチ言っているように聞こえちゃうけど、産業界の立場から語れることもあるかと。それから環境問題への取り組みに対して、具体的な方策を出す役割を担っていると考えています。

今回ノーベル賞を受賞した理由は2つあります。1つは、モバイルIT社会を実現することに貢献した。これは過去のこと。もう1つは、リチウムイオン電池は地球環境問題に対して答えを出していく有力なアイテムだと。こちらは進行形だし、未来形です。

そう考えると賞をいただいた責任として、後進に刺激を与えることも含め、地球環境問題に対して具体的な答えを出していかなくてはいけない。

妻 家では本当にふつうの夫であり、よき父親です。こんな大きな夢と責任感を背負って生きてきたことを、ノーベル賞のおかげで知ることができた。正直まだまだ実感がありませんが、ストックホルムに行けば、きっとそのことがずしんと身に染みると思います。

(構成=篠藤ゆり、撮影=藤澤靖子)

吉野彰,吉野久美子

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最終更新:1/15(水) 12:36
婦人公論.jp

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