ここから本文です

東京モーターショーで見たトラックの将来像

2019/12/9(月) 20:40配信

LIMO

人手不足への対応も急務

 一方で、ボストンコンサルティング・グループが17年10月に公表した推計によると、27年には日本国内のトラックドライバーは約24万人不足すると予測している。多くの業界で高齢化社会の進展に伴い、人手不足が深刻化していく状況にあるが、トラック物流においても宅配便をはじめとした荷物量の増加や、貨物の小ロット化による積載効率の低下などの要因により、必要なドライバー数(96万人)に対して、供給(ドライバーのなり手)は72万人にとどまると試算する。

 このため、将来的に適正な人材(ドライバー)を確保するためには、女性や若手ドライバー、経験の浅いドライバーでも安心・安全に、かつ環境性能にも優れたトラックを業界で導入していくことが求められることになる。

東京モーターショーでの国内3社の展示

 いすゞ自動車(ISUZU)は、モノづくりにおける同社の技術とユーザーとの協創によるソリューションの創出で、豊かな暮らし・社会づくりに貢献することをもとに、『Create with you. これからも「運ぶ」を支えるために』をコンセプトに、安全装備を充実させた新型車両や未来の物流ネットワークを創造するショーモデルなどを出展した。

 今回、長距離輸送ドライバーの新しい働きかたを提案するショーモデルとしてベールを脱いだのが、世界初公開の「FL-IR」だ。魚類などにみられる超音波の会話や行動習性と、コネクテッドや隊列走行との類似性に着目し、外観はサメをモチーフにしたものとなっている。

 プレスブリーフィングでは、同社の片山社長がFL-IRを紹介。「自動運転レベル4と隊列走行により高効率な輸送を可能とするモデル。また、コネクテッド技術も活用することで、よりスムーズな輸送を実現する。このショーモデルで提案する技術は、25年以降の実現を目指すものとなる」と語った。

 一方で、さらなる進化を遂げた大型トラック「GIGA」は、歩行者や自転車なども検知可能なプリクラッシュブレーキ機能に加え、右左折の際の巻き込みや車線変更を支援するブラインドスポットモニター(短距離ミリ波レーダーにより実現)、さらには、全車速で先行車に追従するACC(アダプティブクルーズコントロール)機能なども搭載する。これにより、ドライバーのさらなる疲労軽減に寄与するフラッグシップモデルと位置づける。

 日野自動車は、「Transporting Every Happiness」をテーマに、同社が描く未来の持続可能な豊かな暮らしを、コンセプトモデルやアニメーションで表現した。

 今回、同社がワールドプレミアとして披露したモビリティーコンセプトが、MaaS(Mobility as a Service)社会の到来を見据えた、変幻自在に暮らしを最適化する「FlatFormer」である。動力部のプラットフォームと、上に載るボディー部を完全に分離させることにより、目的に併せて自由にボディー部を組み替えることができる。

 なお、全長4700×全幅1700×全高335㎜で6×6駆動の動力部には、リチウムイオン電池(容量50kWh・出力170kW)を搭載するとともに、制御ユニットやモーターなども一体化。さらに、ボディー部分は3Dプリンターで製作しているという。「実用化の時期については、今のところ未定」と開発担当者は語った。

 我々を取り巻く社会では、提供されるサービスは多種多様。その提供の場となるモビリティーもそれに対応し自在に変化することが求められる。活用可能な空間を最大化したモビリティープラットフォームと、それを最適に活用するサービスプラットフォームがその変幻自在を実現。このFlatFormerによってサービス自体が移動できる手段を手に入れ、暮らしや街に新陳代謝を起こすことで人々がつながり合い、「人々のハピネスを叶える豊かで持続可能な社会を実現することができる(開発担当者)としている。

 三菱ふそうトラック・バスは、世界初公開の燃料電池小型トラックコンセプトモデル「Vision F-CELL」ならびに最先端の運転支援技術を搭載した大型トラック「スーパーグレート」など計5車種(屋外展示含む)を紹介した。

 Vision F-CELLは、燃料電池のパワーを使用して航続距離の制限を解決。電動技術をより広範なアプリケーションに適したものにする電気トラックの将来の展望を表すモデルとなる。

 参考出品車ではあるが、試乗も可能な同車は、135kWの電気モーターを搭載。燃料電池システム用の水素は3基のタンクから供給される。航続距離は約300kmで、燃料補給については、ガソリンの給油時とほぼ同じ2分程度で可能としている。

 三菱ふそうトラック・バスは、17年に量産型の小型電気トラック「eCanter」を発表して以来、現在日本、ヨーロッパ、北米で140台以上の車両が稼働中(合計走行距離は100万km)。同社では、eCanterに続くゼロエミッション商用車の将来モデルとして、Vision F-CELLの市場投入を進めていく計画だが、「投入時期については今のところ未定」と社長兼CEOのハートムット・シック氏はプレスブリーフィングにて語った。

電子デバイス産業新聞 編集部 記者 清水聡

まとめにかえて

 Eコマースの発展に伴い、宅配便の取扱数は近年急激な伸びを示しています。人手不足解消に向けた動きは多方面で広がっており、新たなビジネスチャンスとも捉えられています。ラストワンマイルを宅配ロボットで行う動きなどもその1つです。トラック業界も今後、物流改革に向けた新たなアイデアや新型車両が続々と投入してくると期待されています。

電子デバイス産業新聞

2/2ページ

最終更新:2019/12/9(月) 20:40
LIMO

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事

Yahoo! JAPAN 特設ページ