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[コラム] 王毅はなぜ“GSOMIA”直後に訪韓したのか

2019/12/9(月) 11:54配信

ハンギョレ新聞

 先月、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)終了予定日を控えて米国の外交官たちが大挙してソウルに集まった。「GSOMIAが終了すれば、中国、北朝鮮、ロシアだけが喜ぶ」「中国の態度は、力さえあれば何でもでき、そしてすべてが正しいという態度だ」。一様に中国批判によどみがなかった。米国の攻勢の中で「GSOMIAの条件付き延長」が発表されるやいなや、中国の王毅外交部長が韓国に来た。王毅部長は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領礼訪、外交長官会談、友好要人招請懇談会などで、始終一貫米国の「一方主義」「覇権主義」を徹底的に非難した。THAAD(高高度防衛ミサイル)問題に関しても「THAADは米国が中国を狙って作ったもの」としながら米国を責めた。THAAD配備決定直後の2016年7月、ASEAN地域フォーラムでユン・ビョンセ当時外交部長官に「韓国は(韓中)両国の信頼の基礎を害した」と直撃弾を飛ばした姿とは大きく違った。

 今回の訪韓で、彼の話の刃は一貫して米国に向けられ、韓国に対しては「信頼できる長期的な協力パートナー」「両国の貿易が3千億ドルに達する利益共同体」として、友好的な信号を送った。韓国式のジャージャー麺がどれほど好物かを強調し、韓国の3・1運動と中国の5・4運動の縁を論じた。“THAAD事態”以後の5年余りの間は韓国に来なかったが、再び訪問した彼は、米中の覇権競争が激しくなる中で韓国を中国側に引き込んだり、少なくとも“中立”を選択させようとする外交を老練に繰り広げた。

 最近一カ月、韓国に押し寄せた米国と中国の外交官たちを取材して、韓国が米中覇権競争の戦場になったことを実感した。安保は米国に、経済は中国に近い韓国に向かって、二つの強大国が互いに「自分の側に立て」と要求している。中国の話を聞かなければ経済が危険になり、米国の要求を聞き入れなければ安保が危険になるという威嚇の矢が四方から飛んできている。

 中国は、韓国が米国の圧迫の末に「GSOMIA終了の条件付き延期」を決めたのを見て、防衛費分担金の大幅増額や在韓米軍縮小の威嚇に押されて韓国が米国に安保戦略と関連したさらなる譲歩をするのではないかと懸念していると見られる。王毅部長の訪韓は、韓国が中国牽制を目的とする米国のインド太平洋戦略に全面参加したり、米国の中距離ミサイル配備要求を受け入れる側に動く可能性を前もって遮断しようとする狙いだ。もう「親米か親中か」の論争には意味がない。韓国は外交戦略の明確な原則を定め、たとえ損害をこうむっても原則は曲げないという姿勢で臨まなければ、二つの強大国の間で右往左往しながら危機に陥る事態を防ぐことはできない。いかなる圧迫にも韓国の座標は一定だということを明確にしてこそ、強大国が韓国を揺るがし座標を変えさせようとする試みを食い止めることができる。

 まず、防衛費分担金交渉で米国が在韓米軍縮小で圧迫しても、根拠もない過度な引き上げ要求はきっぱりと断らなければならない。米国は中国を牽制する立場なのに米国経済が衰退しているので、豊かな同盟国の日本を再武装させ、米日同盟の強化を通じて中国に対抗しようとしている。その枠組みの中で、韓国が日本との過去の問題は忘れて、日本の下に入って韓米日3角同盟を成し遂げ、中国牽制費用と役割貢献度を増やせと要求している。韓国に要求する防衛費分担金50億ドル(約6兆ウォン)には、在韓米軍とは関連のないインド太平洋戦略の推進費用を分担させる内容が含まれている。

 さらに進んで、米国が韓国に中距離ミサイルを配備しようとするならば「絶対不可」であることを明確にしなければならない。1962年、ソ連が米国の目の前のキューバにミサイルを配備しようとして、第3次大戦直前まで行く危機を呼び起こしたように、中国の目の前の韓国に中距離ミサイルを配備しようとする試みは、米国の利益のために韓国と北東アジアを災難に追い込む行為だ。

 中国に対しては、中国の急浮上以後に現れている、周辺国に対する傲慢な外交を憂慮するという意向を明らかにしなければならない。中国の“ビッグブラザー”社会統制、香港・深センなどでの人権侵害が、中国との協力を広げようと思う韓国の選択肢を減らしているというメッセージも伝えなければならない。「大国が小国を困らせることに反対し、自身の力だけを信じて弱者を困らせることに反対する」という王毅部長の発言は、米国にも中国にも普遍的な真実だ。

パク・ミンヒ統一外交チーム長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:2019/12/9(月) 11:54
ハンギョレ新聞

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