ここから本文です

スマホ半導体の覇者クアルコムの「次世代戦略」がモバイルPCと5Gである理由

2019/12/10(火) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

半導体メーカーのクアルコムは、セルラー(携帯電話網)通信の半導体を提供する企業としてスタートしたが、近年はそうしたセルラー通信用のチップだけでなく、コンピューター(スマートフォンやPC)のチップを提供する会社としても知られている。

【全画像をみる】スマホ半導体の覇者クアルコムの「次世代戦略」がモバイルPCと5Gである理由

同社のSnapdragon(スナップドラゴン)シリーズは、スマートフォン市場ではトップシェアであるだけでなく、一昨年からはインテルの牙城だったモバイルPC市場にも参入している。

クアルコム社長のクリスチアーノ・アーモン氏は「スマートフォンでは5Gがキラーアプリケーションになる」と述べ、同社が米ハワイ州マウイ島で行った年次イベント「Snapdragon Tech Summit 2019」で発表した5G対応チップ「Snapdragon 865」や、マイクロソフトとクアルコムが共同で開発し、マイクロソフトの「Surface Pro X」に標準で搭載されている「マイクロソフト SQ1」などが同社の次の成長を支えると説明した。

PC市場が「いつか通ってきた路」をスマホも歩む

調査会社IDCの調査によると、2018年のスマートフォンのグローバル市場での出荷台数は14億490万台、2017年の14億6550万台からやや減った。2016年には15億台を越えていたので、ここ2年は市場が縮小していることがわかる。

かつ、IDCの最新の予測値では、2019年は13億7110万台と約2.2%の減少となる可能性が高いとされている。

成長が続くと思われていたスマートフォン市場がなぜ下落しているのかと言えば、特に先進国ではすべてのユーザーにすでにスマートフォンが行き渡り、買い替え需要を当てにする状況になっているからだろう。

しかし、新しいスマートフォンを購入することで何か新しいことができるようになっているかと言えば、実際にはそうではない。

スマートフォンはアップルが最初にiPhoneをリリースした2007年から本質的な意味では大きく変わっていない。2019年は多くのメーカーが画面を折り曲げられる「フォルダブル」と呼ばれる2画面スマートフォンに挑戦したが、価格が高かったり、そもそもタブレットと2台持ちした方が便利だったりという理由で、あまり普及していないのが現状だ。

実はこうした状況は、20年前にPCでも見られたものだ。

2000年代前半にデスクトップPCからノートPCへと流行のシフトが発生し、PC業界は活況に沸いていた。しかしその後、2000年代後半に入るとPCは成長もしないが減りもしないという、いわゆる「メンテナンスモード」に突入していった。

その頃から、PCメーカーはさまざまなトライを続けてきた。

より小型のPC、画面2つのPC、そして今で言うところのフォルダブルなスマートフォンの先祖と言える「キーボードがない2画面のPC」……。どれもこれもマニアには大受けだったが、一般には受け入れられなかった。いまだにPCの標準は、みんながよく知っているクラムシェル型のノートPCだ。

筆者にはスマートフォンのメーカーが現在取り組んでいるフォルダブルなスマートフォンへの挑戦は、そうしたPCメーカーが過去にトライし死屍累々となってきた「いつか来た路」に重なって見える。

結局はスティーブ・ジョブスがこだわって作り出した「スレート型のスマートフォン」が生き残るのではないか、筆者はそう考えている。

スマートフォンは、市場としても、アプリケーションとしても、まさに「PCが進んできた路」をフォローしていると言っていい。今後スマートフォンも、増えもしないが減りもしない「メンテナンスモード」に突入するだろう。そしてIoTのような、より一般消費者にフレンドリーで台数が多い機器に追い越されていく……。

多くの関係者が市場はそうなっていくだろうと予想している、それが現状だ。

1/3ページ

最終更新:2019/12/10(火) 18:01
BUSINESS INSIDER JAPAN

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事