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高齢化率が4割の地方にお試し移住したら、日本の未来がちょっとだけ見えた

2019/12/10(火) 20:00配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

50年後、日本の高齢化率(全人口に占める65歳以上人口の割合)は4割になる ── 。そんな概算が内閣府から発表されている。東京にいるとなかなか感じることのできないその現実は、地方で着実に起こっている。

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Business Insider Japanでは、リモートワーク企画の第三弾として、11月から12月にかけて、カヤックLivingと共同で「紀伊半島はたらく・くらすプロジェクト」を実施。そこで見えてきた、三重県・尾鷲(おわせ)市の「人口減少」のリアルとは?

人が消える町、SFのような未来

東京から名古屋を経由して、さらに5時間(特急に乗りそびれてしまったため)。三重県・尾鷲(おわせ)はとにかく東京から遠かった。

リアス式海岸に囲まれ、海と山がすぐそばにある尾鷲市は人口が1.7万人ほど。車で少し走れば、マクドナルドやすき家、イオンなどのチェーン店もあるため、それほど不便さは感じないものの、人口流出が長らく問題になっており、尾鷲市の高齢化率は約4割だ。それよりさらに深刻なのは、尾鷲の中心街から離れた集落だ。

「ここに住んでいた5年間でも、人が500人から400人になりました。人が減っていく町への関わり方を考えるのは、どこかSF的かもしれません」

5年前に東京から移住した、豊田宙也さん(33)は、尾鷲から車で20分ほどにある漁港町・九鬼に住んでいる。

1960年には2000人を超える人口だったのが、人口流出に歯止めがかからず、現在住んでいるのは400人強だ。同時に高齢化も進み、現在は九鬼の65歳以上割合は6割を超えている。

流出の理由はさまざまだ。木材の輸入率が増加したことによって、地元の主要産業のひとつだった林業がどんどん廃業していること。継げる家業が少ないこと。大学がないため、大学に行こうとすると外に出る必要があること。

仕事ではなくてやることがない

国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日本の高齢化率は、2025年には30%となり、2040年には35.3%になると見込まれている。空き家や孤独死、後継者の不在といった、これから日本が直面することになる高齢化の問題を、尾鷲は先取りしているとも言える。

豊田さんは、地元から人口が減っていく理由を「仕事がないわけではない。地方に“いるべき理由”が見つからないから」だとみている。

観光や仕事などで一時的に尾鷲に来る機会があっても、現地で継続的に続けられる「なにか」がなければ、尾鷲に住み続ける動機はなくなってしまう。リモートワークが普及し、移動がこれまでになく簡単になった今、逆に地域でできることの独自性は強く求められている。

地域外からの人材を受け入れるための制度「地域おこし協力隊」の隊員として尾鷲に移住した豊田さんは、その任期が終わった後も尾鷲に残ることを選んだ。その理由も「ここでやるべきことを見つけられたから」だという。

九鬼には、トンガ坂と呼ばれる坂がある。トンガとは、尾鷲の地元の言葉で「愛嬌のあるほら吹き」という意味だそう。その由来を聞いた時、豊田さんは「この場所に本屋をつくりたい」と決めたという。空き家を改築し、2018年、九鬼に小さな古本屋をオープンした。

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最終更新:2019/12/11(水) 6:01
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