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「若いときにひどい目にあった」自慢のおじさんは、なぜヤバいのか

2019/12/10(火) 8:13配信

ITmedia ビジネスオンライン

 結局、喉元過ぎればなんとやらということか。

 2015年末、24歳の女性社員が「過労自殺」に追い込まれていたことを受けて、労働環境改革を進めていた電通が、労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが分かった。

【画像】三菱電機、電通にも“自慢おじさん”がいる!?

 また、これまでちょいちょい過労自殺や精神疾患による労災認定が相次いでいた三菱電機も今年8月下旬に新入社員が自殺していたことが明らかになった。現場からは、教育主任から「死ね」と言われたなどと訴えるメモが見つかって、この教育主任は自殺教唆の疑いで書類送検されたという。

 過去にパワハラや過重労働が問題になった大企業が、相次いで「再犯」しているのだ。このような話を聞くと、「やっぱり電通の企業体質が問題だな」とか「三菱電機には日常的にパワハラを容認するようなカルチャーがあるのでは」なんて感じる方も多いだろう。実際、そのような論調の報道が目立つ。

 が、報道対策アドバイザーとして、この手の問題企業の内部を見てきた経験から言わせていただくと、「組織風土」とか「体質」という”ふわっとした話”で片付けてしまうから、いつまでもパワハラや過重労働がなくならないのではという気もする。

 電通や三菱電機という組織に問題がないと言っているわけではない。関西電力が、幹部社員たちが高浜町元助役を務めた男性から金品を受け取っていた問題を「組織風土」で幕引きを図ったように、問題の本質から目をそらさせてしまう恐れがあると申し上げているのだ。

問題の本質は何か

 では、問題の本質は何かというと、個人的には、電通や三菱電機の幹部・管理職に、「若いときにひどい目にあった自慢」をするおじさんが多いからだと考えている。

 「なんだよそれ?」と思う方も多いかもしれないが、要するにこれは、新入社員や若手社員のときに壮絶な過重労働や、上司からのハードなパワハラを経験して、なおかつそれを心のどこかで「勲章」のように誇らしげに感じているおじさんのことだ。

 例えば、皆さんのまわりでも、以下のような「若いときにひどい目にあった自慢」をするおじさんは多くないか。

 「若手のときは怖い上司に精神的に追い込まれたけど、あれのおかげで今の自分がある」

 「新人のときはほとんど会社に泊まっていたけど、あの辛い日々のおかげで成長できた」

 もちろん、自分自身の体験なので、何をどう解釈しても美化しても自由なのだが、このような「若いときにひどい目にあった自慢おじさん」が管理職になると往々にして、部下や後輩に対して壮絶なパワハラや過重労働を強いることが多い。ちょっと前、十代の女子体操選手をヤカラ調に叱責して、横っ面をひっぱたいていたコーチが世間から叩かれて、「自分も若いころにそのような指導のおかげで成長した」という主旨の釈明をしたが、暴力やハラスメントを受けてきた人間は、自分が指導・育成する者にも暴力やハラスメントを強いるものなのだ。

 筆者も仕事柄、40~50代の大企業に勤める管理職の方と多くお会いするが、自分が若いときに受けてきた過重労働やパワハラを、「部活のシゴキ」のように嬉しそうに振り返る人が思いのほか多い。そして、そのような人に限って、「最近若いのは根性がない」とか「やっぱり死ぬほどつらい目に追い込まれないと人間は成長できないよね」なんてことをのたまうのを何度も耳にしてきた。

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最終更新:2019/12/10(火) 8:13
ITmedia ビジネスオンライン

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