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気候危機の「タイタニック号沈没」の瞬間は? 科学者が公式で説明

2019/12/10(火) 9:56配信

The Guardian

【記者:Graham Readfearn】
 緊急事態が本当に緊急事態になるのは、いつか。

 タイタニック号の場合、ぶつかれば船が沈没しかねない巨大氷山への接近は、かじを切っても衝突を避けられないかもしれないと船長が悟ったとき、初めて緊急事態となる。

 ドイツのポツダム気候影響研究所の名誉所長ハンス・ヨアヒム・シェルンフーバー教授は、英科学誌「ネイチャー」の論評の中で、気候の非常事態においても同じことが言えると説明する。

 地球温暖化にブレーキをかけるために社会に残された時間がどれだけかを知り、船の速度が落ちるまでにどれだけの時間がかかるかを知ることはつまり、気候の非常事態か、もしくは対処可能な問題かの区別をつけることになる。

 シェルンフーバー教授によると、気候の非常事態とは、抽象的で解釈の余地があるものというより、公式に当てはめられるほど明確で計算可能なリスクだという。そこで、同教授は次のような公式を作った。

 緊急事態=R × U = p × D × τ / T

 シェルンフーバー教授と同僚らは「ネイチャー」の中で、気候の非常事態を理解するには、リスク(R)と緊急性(U)との関係を数字で示す必要があると説明している。

 保険業界からヒントを得て、シェルンフーバー教授らはリスク(R)について、何かが起こる可能性(p)に損害(D)を乗じたものだと定義。緊急性(U)は、問題に対して反応するまでにかかる時間(τ)を、悪い結果を避けるための介入に残された時間(T)で除したものだ。

 教授は、「標準的なリスク分析および制御理論」を使ってこの公式を考案し、数字を当てはめた。

「地球温暖化による気温上昇を2度未満に抑えるために残された介入時間は、せいぜい30年程度。反応時間──完全な脱炭素化に必要な時間──は少なくとも20年」。もし「反応時間が残された介入時間より長い」という場合、それは「もう制御できない」ということだとシェルンフーバー教授らは「ネイチャー」の中で述べている。

「この臨界点より先は、タイタニック号の乗客を救命ボート(もしあれば)に移すなど、状況に適応するための選択肢しか残らなくなる」 【翻訳編集】AFPBB News

「ガーディアン」とは:
1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞を受賞。

最終更新:2019/12/10(火) 9:56
The Guardian

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