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航空自衛隊の“空上げ“とは

2019/12/10(火) 14:47配信

メシ通

コスト管理も必須、あまり高価な食材は使えない。

酒井さん:試行錯誤を重ねた結果、うなぎと三ヶ日みかんにたどり着きました。うなぎは身を使うと予算オーバーですが、骨から出汁を取ることで「うなぎ風味」にできるんです。今の味になるまでは試作を重ね、そのたびに食べた隊員からアンケートという形でもらった意見を反映させていきました。なので、現在の完成形は隊員たちの声を反映したものになっています。

空自空上げは毎月最終金曜日の昼食に「空自空上げの日」として隊員に提供されています。うなぎ風味と三ヶ日みかん、どちらが評判なんでしょう。

酒井さん:それが結構競っているんですよ。うなぎ風味のほうはご飯のおかずにぴったりと好評ですし、三ヶ日みかんのほうはさっぱりしていて食べやすいと。

まったく異なる味なので、そもそも比較の対象になりづらいのでしょう。また、どちらも基地内のさまざまな声を参考に改良を加えて今の味になったので、大差がつかないのはむしろ当然なのかもしれませんね。

揚げた鶏肉をたれに絡めたら評価がうなぎ上りに

続いて、実際に空上げを調理する方にもお話を聞いてみましょう。浜松基地にある南北ふたつの厨房の現場長、つまり現場責任者である樋口崇2等空曹です。
樋口さんは約15年前に航空自衛隊に入隊、茨城県の百里基地で10年勤務し、調理指導員の資格を得てからこの浜松基地勤務となり現在5年目です。
樋口さん、よろしくお願いします!

樋口さん:3~4人で1000人分の食事を作り上げたときの達成感は大量調理だからこそ味わえるもので、そこにおもしろさも感じます。その一方で難しさを感じるところもあります。たとえば、通常は火ではなく水蒸気で調理するので、中華料理のように強い火力が欲しい炒め物だと、水分が飛びづらくべしゃっとした仕上がりになりがちです。逆に煮物やカレー、豚汁などは、蒸気で調理するとすごくおいしくできますね。
大量調理では鍋もレードル(玉じゃくし)も全部ビッグサイズなので、腕だけで作業すると筋肉痛で大変なことになります。体全体を効率よく使って無駄な力を入れないようにすると負担は軽くなります。経験が浅い隊員ほど腕だけで調理しようとするので、そこは指導するようにしていますね。

調理するだけでも相当の体力が必要なんですね。さて、うなぎ風味の空自空上げについてお聞かせください。

樋口さん:実は、うなぎ風味の空上げは、開発初期の段階ではあまり評価がよくなかったんです。それで酒井さんと相談しながら改良を重ね、「たれにくぐらせ、そこから揚げる」という手順を「揚げた鶏肉をたれに絡める」に変えたところ、一気に「おいしい!」の声が増えました。たれには糖分が入っているので、たれに浸してから揚げると焦げやすく、しかも黒っぽい仕上がりになるので見た目もいまいちなんですよ。ちなみにたれは通常のうなぎの蒲焼きのたれよりも甘さを控えめにして、くどくならないようにしています。

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最終更新:2019/12/10(火) 15:07
メシ通

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