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艦艇に迫るミサイルどう回避?撃墜できなかったら…進む「デコイ(おとり)」開発配備

2019/12/10(火) 6:03配信

乗りものニュース

ミサイルを「落とす」か「かわす」か

 海上自衛隊が保有している艦艇のうち、敵との戦闘をおもな任務とするいわゆる「護衛艦」には、敵の艦艇や航空機が発射してきた対艦ミサイルを無力化する方法が、大きくわけて2種類存在します。

【写真】高価な「おとり」アクティブデコイ「ヌルカ」の射出

 ひとつは、対空ミサイルや艦載砲などによって接近するミサイルを撃墜するというもので、これは「ハードキル」と呼ばれます。もうひとつは、電波を反射する小さな物体を多数射出する「チャフ」と呼ばれる装備により、ミサイルのレーダーに対して目くらましを仕掛けるというもので、これは「ソフトキル」と呼ばれます。これらの違いをシンプルにとらえれば、ミサイルを「落とす」か「かわす」かの違いともいえます。

 しかし、目標を見分けるための先進的なシステムを搭載する現代の対艦ミサイルに対しては、チャフの有効性にも限界が見え始めているという現状があります。そこで、各国の海軍艦艇にはチャフに加えて、敵のミサイルを回避するための「デコイ(おとり)」の搭載が進んでいます。

各国で運用されている「デコイ」どんなものがある?

 たとえば、アメリカ海軍やオーストラリア海軍の艦艇には、この2か国が共同で開発した「ヌルカ(Nulka)」と呼ばれるデコイの配備が進んでいます。

 オーストラリアの先住民族であるアボリジニの言葉で「素早く」を意味するヌルカは、ロケットモーターにより空中を浮遊しながら電波を放出し、これにより敵のミサイルに対して、まるでそこに目標の艦艇が存在するかのような錯覚を与え、何もない海原へと誘導することができます。ちなみに、このように自ら電波を放出するタイプのデコイを「アクティブデコイ」といいます。

 このアクティブデコイに対して、自らは電波を出さない代わりに電波を反射する物体を展開して、レーダー上ではそこに軍艦のような大きな目標が存在しているように見せかける、「パッシブデコイ」と呼ばれるものがあります。その代表例として挙げられるのが、イギリスの企業が開発した「水上浮遊式デコイシステム(FDS)」です。

 FDSは、円筒形の射出装置と、そこから射出されて風船のように膨らむ浮遊体から構成されていて、レーダー上では、艦艇よりも大きく映るこの浮遊体と目標艦との区別がつかなくなり、そして浮遊体のほうにミサイルがひきつけられるという仕組みです。シンプルかつ安価なシステムながら非常に有効的なこのFDSは、イギリス海軍のほか、最近ではカナダ海軍やアメリカ海軍でも採用されています。

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最終更新:2019/12/11(水) 9:53
乗りものニュース

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