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量子ドット材料、ディスプレー用に需要拡大加速

2019/12/10(火) 21:10配信

LIMO

 量子ドット材料(Quantum Dot=QD)の需要拡大が見込まれている。韓国のサムスンディスプレー(SDC)が忠清南道牙山キャンパスに2025年までに総額13.1兆ウォンを投資する計画を発表し、8.5世代(2200×2500mm)マザーガラスで当初月産3万枚の生産体制を整備して、次世代テレビ用パネル「QD-OLED」の量産を21年から開始するためだ。これに伴い、QDメーカーの動きも活発化しており、20年には応用範囲の拡大がさらに進みそうだ。

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市場は年率27%で成長

 QDとは、直径が10nm以下の半導体微粒子を指す。主にカドミウム(Cd)系やインジウム(In)系の金属微粒子が用いられる。こうした微粒子は、紫外光など特定の波長の光を当てると、粒径の違いに応じて赤や青、緑に発光する。紫外光を長時間当てても色褪せることがほとんどないため、これらの性質を利用して、液晶や有機ELといったディスプレーやLED照明の色味を向上したり、太陽電池が吸収できる波長を広げて発電効率を高める波長変換材料に使ったり、病巣を特定するバイオマーカーに利用しようといった取り組みが進んでいる。

 ちなみに、SDCのQD-OLEDは、青色に発光する有機ELにQD層を組み合わせ、青色光でQD層を励起して赤と緑に変換し、液晶と同様にカラーフィルターも積層してRGBフルカラーを得る構造を採用する。こうした用途がQDの需要拡大に寄与し、調査会社のMarketsandMarketsでは、QD市場は18年の26億ドルから年率平均27%で成長して、2023年には85億ドルに達すると予測している。

ナノシスは生産能力を倍増

 現在、QDメーカーとして最も大きな供給能力を持つと目されるのが米ナノシスだ。同社は19年7月、カリフォルニア州ミルピタスの本社工場で数百万ドルの投資を完了し、QDの年産能力を50t以上に倍増したと発表した。15年に年産能力を25tに拡大すると発表し、18年にこれを実現したが、テレビやモニター、タブレット向けなどに拡大する需要に対応するため新たな増産投資を進め、1300L以上の容量を持つ2階建ての反応炉を整備した。

 19年10月には、19年のQD出荷量が前年比で5割以上増加する見通しだと発表した。19年後半には、ナノシス製のQDを搭載した100以上のディスプレー製品が市場で入手可能になり、そのほとんどが1000ドルを下回る手頃な価格で購入できるようになった。「この傾向は、2020年に液晶テレビでの採用が拡大し、近い将来、ナノシスの技術と市場でのリーダーシップをさらに確立する新たなQD色変換製品の導入によって加速すると予想している」と、暗にSDCのQD-OLEDへの採用を予見するかのようなコメントを出している。

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最終更新:2019/12/10(火) 21:10
LIMO

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