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世界人権デーに紹介したい、プロスポーツと地域によるグローバル人材育成の取り組み

2019/12/10(火) 12:30配信

SOCCER KING

 10月6日、埼玉スタジアムのメインスタンドに、浦和レッズの勝利を喜ぶ制服姿の高校生たちがいた。清水エスパルスとの一戦でピッチに視線を送っていたのは、浦和学院高等学校の2年生約100人。浦和学院は埼玉スタジアムから西に約1キロの場所にある男女共学の私立高校である。なぜ浦和学院の生徒たちがこの日の埼玉スタジアムにいたのか。その答えは4年前のある出来事までさかのぼる。

 2015年11月、浦和レッズ対ガンバ大阪戦をめぐり、ツイッター上でガンバ大阪の外国人選手に対する差別的なメッセージが発信された。その後、メッセージの発信者は浦和学院の生徒であることが判明。情報はSNSなどで拡散され、浦和学院が公式サイトに謝罪文を掲載する事態となった。

 浦和学院は、同校生徒の不適切な投稿が社会に及ぼした影響を重く受け止め、「生徒を罰して終わりにするのではなく、本人を含めた啓発のきっかけにし、継続的にこの問題と向き合っていくことが本質的な解決につながる」と考えた。同年12月、その考えに強く賛同した浦和レッズが浦和学院のグローバル教育に協力することが正式に決まった。

誇りあふれるスタジアムを。浦和レッズが掲げたコンセプト

 高校生の投稿からさかのぼること約1年半、浦和レッズもまた、差別問題に関する謝罪リリースを公式サイトに掲載していた。

 2014年3月8日に行われた浦和レッズ対サガン鳥栖戦で、浦和レッズ側ゴール裏スタンドの入場ゲートに、一部サポーターが差別的と捉えられる横断幕を掲出。同年3月23日の清水エスパルス戦をJリーグ史上初となる無観客で開催するなどの処分を受けたほか、社会的にも大きな批判を受けることになった。

 浦和レッズはその後、「誇りあふれるスタジアムを」というコンセプトのもと、クラブスタッフ全員があらためて人権に関する理解を深めると同時に、ファン・サポーターにも理解を呼び掛け、差別的な発言や行為のない「ルールある熱いサポート」でともに闘うスタジアムづくりを目指していた。そんな中、前述の高校生による投稿が波紋を呼び、浦和レッズは自らによる過去の過ちから反省して学んだ経験をもとに、浦和学院のグローバル教育に協力することになったのだ。

 2016年には、浦和レッズと提携関係にある「国連の友Asia-Pacific」(founap)と浦和レッズのスタッフが浦和学院に赴き、教職員140人に対する人権教育研修を実施した。まずは生徒を指導する教職員の意識を高めることが研修の狙いだった。その後も全校生徒を対象に人権に関する講演会等を継続的に実施している。以前から修学旅行や留学による国際交流が盛んだった浦和学院の生徒にとって、あらためて人権に対する考えを深めることができる貴重な場となっているという。

 浦和レッズとfounapは2009年にニューヨークの国連本部で提携締結をかわし、2010年から「SPORTS FOR PEACE!」というメッセージを掲げ、スポーツによる平和運動を目的としたアジアにおける草の根国際交流や東日本大震災の復興支援などに取り組んできた。そして差別的横断幕事案を契機に、差別撲滅アクションプログラム「ZERO TOLERANCE(絶対許さない)」を策定し各種プログラムを実施してきた。

 ホームゲームが行われる埼玉スタジアムでは「SPORTS FOR PEACE!」ブースを展開し、両団体による国内外でのさまざまな取り組みを紹介している。今年10月6日の清水エスパルス戦では、浦和レッズがクラブ全体での参画を表明している「SDGs」(エスディージーズ、持続可能な開発目標)に寄与する活動の一環でもある「SPORTS FOR PEACE!」をさらに浸透させる施策として「SPORTS FOR PEACE! DAY」が開催されていた。

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最終更新:2019/12/10(火) 12:30
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