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海老根うちわ(12月11日)

2019/12/11(水) 8:44配信

福島民報

 山あいの工房に冷たい空気が張り詰める。「簀[す]」と呼ばれる道具を使って水に浮かぶ繊維をすくい取り、均等な厚さにならす。郡山市中田町の海老根[えびね]地区に受け継がれる和紙づくりは、冬の風物詩として知られる。

 約三百六十年前、江戸時代に始まったとされる。後継者不足で三十年ほど前に途絶えた。それから十年後、地区住民が保存会を結成して復活させ、毎年十二月に地元の小中学生が体験に訪れる。六年生にとって、自分ですいた紙が卒業証書に使われる。学校生活の思い出が増す。

 ふるさと祭り東京実行委員会による「おみやげグランプリ2020」の結果が発表された。数ある品の中で、海老根和紙を張ったうちわが、外国人向けにふさわしい「クールジャパン賞」に輝いた。木工品製造を手掛ける市内のアサヒ研創が、地元の伝統文化を生かした商品として世に送り出した。

 日にかざすと、エビネラン、麻の葉の模様が透けて見え、和の風情を堪能できる。来年は、東京五輪・パラリンピックが開かれ、世界の国と地域の人々が訪れる。あおぐたび、眺めるたびに、楽しかった旅の記憶がよみがえる。何より、手すき和紙の魅力が海を越えて広まる。

最終更新:2019/12/27(金) 22:20
福島民報

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