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「ドットチャート」過信は禁物…19年は大外れ

2019/12/12(木) 17:40配信

モーニングスター

 FRB(米連邦準備制度理事会)は11日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で政策金利を1.50~1.75%で据え置くことを決定した。FOMCメンバーが示す政策金利の見通し(ドットチャート)は、中央値が来年の利上げなしを示す結果となった。当面は利上げが見送られるとの安心感から11日の米国株式市場は上昇し、米長期金利も低下した。

 もっとも、市場の注目度が高いこのドットチャートだが、後から振り返ると予想と実際の結果が大きく乖離することも少なくない。典型的なのがまさに今年(19年)の政策金利についての予想で、1年前(18年12月)のFOMCで示されたドットチャートは、17名のメンバーの中央値が2回の「利上げ」見通しとなっていた。17名のうち利下げを予想したメンバーはおらず、据え置きが2名、利上げ1回が4名、利上げ2回が5名、そして利上げ3回が6名で最も多かった。実際の結果はその逆で3回の「利下げ」だった。

 米投信市場もこうしたFOMCの見通しに大きく影響を受ける結果となった。18年に人気化したのが、米モーニングスターで「ウルトラショートボンド(超短期債)」と呼ばれるカテゴリーに属する債券ファンドだ。金利感応度であるデュレーションが1年未満となる米国の投資適格債に投資する。

 FRBが9年半ぶりの利上げを決定した15年12月以降、FRBが利上げをする度に金利上昇局面に強い超短期債の需要は高まる一方となり、18年11月にはピークとなる132億ドル(約1.5兆円)の純資金流入を記録した。ドットチャートで「19年に2回の利上げ見通し」が示された翌18年12月においても、93億ドルの流入と比較的高水準の流入となっており、この段階でもまだ投資家は利上げへの警戒を緩めていなかったことを示している。

 ドットチャートの例が示すように、そもそも短期的なマーケットや経済の見通しを当てるのはプロでも容易ではないが、投資家として何かしらの判断をしなければならないときは、少なくとも一つの情報源を過信するのは避けるべきだろう。

 昨年末時点では米中貿易摩擦の問題が深刻化する中で、投資家は先行きについてより慎重な見方をしていた。実際に、昨年末時点で米金利先物市場が織り込んでいたのは、19年の「利上げ無し」だ。2回の利上げを見込んでいたFOMCメンバーの予想を鵜呑みにするよりも、先物市場の動向を参考にした方がまだ「正解」に近かったことになる。

坂本浩明

最終更新:2019/12/12(木) 17:40
モーニングスター

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