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岳温泉の湯花流し(12月12日)

2019/12/12(木) 9:25配信

福島民報

 二本松市の岳温泉で週に一日、各旅館の湯が白く濁る。八キロ離れた源泉の近くで「湯花[ゆばな]流し」が行われているためで、管に付いた硫黄などをはがす。パイプが詰まらないよう、定期的に落とす必要がある。常連客は真っ白で濃い温泉を楽しみに待つ。

 温泉管理会社の数人の湯守[ゆもり]が年間を通じて務めを果たす。十五カ所の元湯湧き出し口から集まる源泉の温度を程よく保ち、湯花を取り除く。冬季は安達太良山の奥岳登山口から五キロの山道を歩き、多いときで深さ四メートル余りにも及ぶ雪をかき分ける。

 降り積もった点検口の上部は熱気で空洞になり、真上からは掘れない。中にガスがたまっている場合もあり、危険を伴う。それでも、美肌の湯として知られ、多くの客が待つ温泉を止めるわけにはいかない。強い思いを胸に黙々と取り組む。

 以前は湯樋[ゆどい]清掃と呼ばれたが、観光協会で働く地域おこし協力隊員は違和感を持っていた。湯花は掃除するものでなく、宝物のように成分がたっぷり入っている。名称を昨年変え、会員制交流サイト(SNS)で「きょうはミルキー風呂!湯花流しが行われます」と発信する。湯守が支える名湯につかり、身も心も温まる。

最終更新:2019/12/12(木) 9:25
福島民報

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