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グーグルと米No.1病院が提携、ヘルスケア×AIが社会にもたらすインパクト

2019/12/12(木) 6:01配信

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小売や交通などAIの活用によって変革が想定される分野は多岐にわたる。その中でもヘルスケア領域におけるAIの社会的・経済的インパクトは特に大きなものになる可能性がある。

診断精度の向上、疾病予測、新薬開発の加速などによって人々の健康状態が向上し、寿命が伸びることが想定されるからだ。このような状況が実現すると、医療コストの大幅削減、長寿社会の到来、それにともなう新市場の台頭など社会・経済にさまざまな変化が起こることが考えられる。

現時点からこうした状況が実現するまでどれほどの時間を要するのかは分からないが、この分野のキープレーヤーたちの動向を知ることで、ある程度の予測は立てられるかもしれない。

この点で、2019年9月10日に発表された米No.1病院メイヨー・クリニックとグーグルの10年に及ぶ戦略提携は、注視すべき動きといえるだろう。ヘルスケア業界トップとテクノロジー業界トップの提携とも呼べるこの動きは、どのような変化をもたらすのだろうか。

年間130万人が訪れる米No.1病院メイヨー・クリニックとは

日本ではあまり知られていないメイヨー・クリニック。しかし、米国ではこの30年近く病院ランキングトップ(1位または1位に近い順位)を維持し続ける名門病院として広く知られる存在だ。米国以外でもその知名度は高く、毎年140カ国から患者が訪れるという。米国国内と海外からの来院者数は年間130万人に上る。

メイヨー・クリニックは、1864年ミネソタ州ロチェスターでイギリス系アメリカ人の医者・化学者だったウィリアム・ワロー・メイヨー氏が始めた診療行為をきっかけとして発展した病院。現在では医療サービスだけでなく、教育や研究にも力を入れ、6万人を超えるスタッフを抱える巨大な医療グループとなっている。

U.S News & World Reportが毎年発表している病院ランキングでは1位の常連。27年以上に渡り上位にランクイン、米国トップの病院として評価され続けている。最新ランキング(2019~2020年版)でも1位だった。

最新版トップ5には、2位マサチューセッツ・ジェネラル病院、3位ジョン・ホプキンス病院、4位クリーブランド・クリニック、5位ニューヨーク・プレスビティリアン病院がランクイン。

このランキングの構成要素は、がん治療、循環器・心臓関連手術などに関するハードデータ、眼科や精神医学に関する専門家による評価、心臓バイパス手術や人工膝関節置換術に関するパフォーマンス評価が含まれている。

主に専門治療・手術を必要とする患者が参照するランキングである。

米国No.1の病院メイヨー・クリニックにはどれほどの医療スタッフが働いているのか。

メイヨー・クリニックのウェブサイトによると、医師・研究者の数は4878人。事務・医療補助スタッフは6万人以上。計6万5000人以上が働いているという。研究にも力を入れており、年間研究予算は6億6000万ドル(約712億円)。4000人を超えるフルタイム研究者が日々研究を行っている。

メイヨー・クリニックはこの数年、電子カルテシステムの構築・統合に注力してきた。年間130万人もの患者が訪れるため、膨大な医療データが発生する。

それらを「Epic」と呼ばれる電子カルテシステムに統合しようという試みを2017年から実施してきた。ミネソタ、ウィスコンシン、ロチェスターなどグループ各施設のデータベースを構築・統合し、2018年10月に完了したことを発表している。

地元メディアによると、Epicプロジェクトには15億ドル(約1620億円)が投じられたという。

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最終更新:2019/12/12(木) 6:01
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