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【Helsinki Lambda Club インタビュー】原点に立ち返るコンセプトで作っても面白いものに仕上がる自信があった

2019/12/12(木) 18:02配信

OKMusic

やりたいことに満ちているという点では絶好調です

──表題曲「Good News Is Bad News」は、あと“一歩”を踏み込めないリアルな情けなさと、映画のワンシーンのようなロマンチックが絶妙に合わさっていて、それは橋本さんが作る楽曲の特徴のひとつでもあると思いました。

恋愛かどうかに関わらず、ただハッピーなだけの曲を作ろうと試みたことは何度もあるんですけど、やっぱり書けないんですよね。表現というのは必ずしもリアルである必要はなくて、ファンタジーやフィクション的なものは大歓迎なんですけど、そこに込められる人間らしさに惹かれるんです。生きていてただただハッピーっていう感情が持続した状態ってあまりないですし。基本は喜怒哀楽の間を彷徨っていたり、それのどれにも当てはまらなかったり。そういった言葉にできない絶妙な気持ちをなるべくすくい上げてみたいと意識しています。映画のワンシーンみたいというのは嬉しいですね。恋愛がテーマならやっぱり綺麗な風景も浮かぶほうがいいですし。

──“Good News Is Bad News”というちょっと皮肉っぽさのあるタイトルも橋本さんらしいと思いました。あと、後半をサビで駆け抜ける構成は楽曲の中のふたりが離れていく描写が思い浮かんで、その切なさと曖昧さが残るのもたまらないです。

タイトルはいわゆるバタフライエフェクトというか。誰かにとっての良い知らせは誰かにとっては悪い知らせっていう、世の中の歪みをイメージして思い付いたんですけど、それをどう処理しようかと思った時に、楽曲のちょっと切ない雰囲気と心が弾んでいるような跳ね感から、恋愛モチーフでいこうと思って歌詞を書きました。恋をしてしまったと気付いた時って、世界が色付いて見えると同時に“結ばれなかったらどうしよう”とか、いろいろな不安も同時に襲い掛かってくると思うんですけど、そういった部分にスポットを当てました。モチーフは恋愛ですけど、広義にとらえてもらえるような詞になっていれば幸いです。

──さっきのハッピーな気持ちだけではないという話にも通ずると思いますが、ヘルシンキの恋愛モチーフの曲っていつも“どちらかというとバッドエンド?”みたいな歯がゆさがありますよね。橋本さんにとってのラブストーリーがそういうイメージなのでしょうか?

ちょっと悲観的な見方ですけど、基本的に永遠はないと思っているので、一瞬の輝きを切り取るものかなと。歯がゆいくらいが僕の中ではリアルというか、しっくりきます(笑)。

──メンバーの雄叫びから始まる「Debora」は終始遊び心満点のナンバーで聴いていて楽しいです。

サビは2年前くらいからあって、1度弾き語りでやったきりで封印していたんですけど、今回の原点に立ち返るというコンセプトを考えた時に使えそうだと思って再度練り直しました。「Good News Is Bad News」にも言えることですけど、フレーズはほとんど僕のアイデアをそのまま採用したので、そこまで制作に難航することはなく、僕がイメージし切れない部分はメンバーに補ってもらって、そこで自分の予想を良い塩梅で超えていくって感じになりました。

──《ジュリアナトーキョー 踊り狂って 朝の死に化粧》あたりのリズム感なんかは、ヴォーカルの個性も色濃く出ていて、聴いていると思わず口に出したくなるような歌い回しが本当に最高です。そういう中毒性を出すフレーズをちょこちょこ出しつつ転調もしていって、最後にはぶっ飛ぶ展開…こういったリスナーの心を揺さぶる、むしろちょっと笑わせにくるような仕掛けの曲は定期的に作りたくなる衝動があるんですか?

確かに、定期的に作りたくなるのかもしれないです(笑)。最近はわりと言葉遊びとかオマージュは控えていた部分もあったのですが、そこも原点に立ち返るということで久しぶりに存分に詞で遊びました。デビュー前の「ルイジアナの類人猿」って曲の歌詞がすごく気に入っているんですけど、その時のような脳味噌を溶かした感じで書いてみました。

──以前、自主製作盤に収録されていて、ライヴでも度々披露されてきた「KIDS」をリアレンジしている点も原点に立ち返ってますね。

「KIDS」は何度もやり直そうとしてきたんですけど、作った当初からかなり難しい曲で、ドラムを強く意識し始めたここ2年くらいだとなおさら手が出しにくくなっていたんですよね。ただ、ようやく熊谷が重い腰を上げてリアレンジの案を出してくれたし、このタイミングでやってみました。

──ギターのフレーズが特に重要になる楽曲なので、熊谷さん主導でのリアレンジでかなり印象が変わったと思います。ファンクっぽさが増して、より洒落た感じがしますし。

最初は熊谷の中でもDevendra BanhartとかMac DeMarcoみたいな現行のチルいポップスのイメージがあったんですけど、メンバーでいろいろいじっている間にミックスを含めかなりファンク要素が前に出ましたね。個人的には2サビ後の間奏のアレンジがT.Rexっぽいというか、ほのかにグラムロックの香りを感じるフレーズができて気に入っています。

──楽曲自体は5年以上前からあったと思いますが、再録してみたことで何か思ったことは?

以前の録音も良い空気感で録れていると思いますが、やはり明らかにリズムの絡みなどの意識が薄かったと思います。再構築してより強固な絡みになりましたが、演奏は相変わらず難しいです(笑)。

──今作は次回作以降でアプローチしたいことのフックにもなりつつ、バンドの現状も込められているかと思いますが、言葉にすると今のHelsinki Lambda Clubの調子はいかがでしょうか?

やりたいことに満ちているという点では絶好調ですね。でも、その分まだまだ発展途上です。次回作については構想はできていますが…まだ秘密で!

──今作を引っ提げてのツアーが2020年2月から始まりますが、最後に意気込みを聞かせてください。

グッと来る気持ちも持ち帰れるし、頭を空っぽにして遊ぶこともできるライヴなので、ぜひいろんな気持ちの方に遊びに来てほしいです。

取材:千々和香苗

OKMusic編集部

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最終更新:2019/12/12(木) 18:02
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