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いじめで泣き寝入りの後悔から誕生。大ヒット『こども六法』制作者2人も被害者だった

2019/12/13(金) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

「大人にチクるのは負け」と相談できなかった

「そういえばあの本、出たのかな」

小川凜一さん(26)がこども六法のことを思い出したのは、2017年末だ。

小川さんもまた、中学時代にいじめを受けていた。上履きは、毎日のようにトイレに投げ捨てられていた。同級生が円陣を組む中に投げ込まれ、寄ってたかって蹴られたこともある。だが、

「自分で戦いたい、大人に『チクる』のは負けだという思いがあり、誰にも相談できなかった」(小川さん)

結局、何もできない無力感を味わった。

それだけに大学時代、インターン先で知り合った山崎さんに、『こども六法』の原型を見せられた時は「いじめを受けていた時の自分が欲しかった本だ」と、衝撃を受けたという。

卒業後は広告プランナーなどをしていたが、「世の中に本当に必要とされるものを、広告の力で支援したい」と、新規事業や社会活動に関する広告制作団体「Creative Capital」を立ち上げた。最初に何を手掛けるか考えた時、真っ先に思い浮かんだのが、『こども六法』だった。

山崎さんに連絡を取ると、制作は停滞しており、「メインの活動からは外している」という返事。小川さんはすぐさま「必要としている子が絶対たくさんいるから、会おうよ!」と誘った。

小川さんらは出版に向けたクラウドファンディングを実施。いじめの様子を再現したインパクトのある動画を添えたことが幸いし、当初の目標額100万円を大きく上回る約180万円を集めることができた。2018年10月、制作が本格的にスタートした。

いじめ自殺防ぐため9月1日に

だが制作中、2人の考えは「だいたい食い違ったよね」と、お互い顔を見合わせて笑う。

小川さんは、「僕のような法律に関心のない子にも、手に取ってもらいたい」という思いが強かった。そこで「こうした方が分かりやすいよ」と言うと、山崎さんは「それじゃ法律的に正しくなくなる」。やっとのことで文章を練り上げても、「専門家の監修を受けるたびに原文に戻っていった」(小川さん)。それをまた、山崎さんが交渉してギリギリの分かりやすい表現へと押し戻す。

2人は「(いじめ自殺が最も増えるとされる)9月1日までには、何としてでも発売を間に合わせる」という決意を共有していた。時間の許す限りの修正を重ね、8月20日、本を世に送り出した。

「きみを強くする法律の本 いじめ、虐待に悩んでいる君へ」という帯文は、小川さんが「中学当時のオレに言いたかった言葉」だという。

「法律を知ったら強くなれるぞ、相談するのはチクった弱虫じゃない、正当なことなんだぞと、伝えようとした」(小川さん)

「小川君が声を掛けてくれなかったら、本の企画そのものがつぶれていた可能性は高いし、少なくとも今のような良いものにはならなかったと思う」(山崎さん)

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最終更新:2019/12/13(金) 17:01
BUSINESS INSIDER JAPAN

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