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最後の1ピースがはまった。「観測史上最高エネルギーのガンマ線」の意味とは?

2019/12/13(金) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

東京大学宇宙線研究所をはじめとした国際的な観測グループは、観測史上最高となる1兆電子ボルトのエネルギーを持つガンマ線を含んだ、ガンマ線バースト(※詳細は後述)を観測したと発表した。

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電子ボルト:エネルギーの単位。目に見える光(可視光線)のエネルギーは、数電子ボルト。

このガンマ線バーストは、約45億光年先にある恒星がその生涯を終え、ブラックホールへと変貌を遂げる際に生じたものと考えられるという。

11月21日にイギリスの科学誌『Nature』で発表され、ニュースとして大きく取り上げられたこの話題。一体何がそれほど重要だったのだろうか? 

あらためて、専門家に研究の意味を聞いた。

「観測史上最高エネルギーのガンマ線」が示す未知の世界

宇宙空間には、無数の放射線(エネルギーの高い電磁波や粒子)が飛び交っている。その中でも、エネルギーが一定以上高い電磁波のことをガンマ線という。

これまでの研究によって、宇宙ではガンマ線が大量に放射される現象「ガンマ線バースト」がたびたび生じていることが分かってきた。

※ガンマ線バーストは、大きな恒星が寿命を終えてブラックホールになる際や、
 重力波の原因として挙げられるブラックホールや中性子星(中性子からなる超高密度の天体)が合体する際に生じる現象だと考えられているが、現象が起きる理由や周辺環境についてはよく知られていない。

「ガンマ線バースト自体は過去に何度も観測されています。しかし、1兆電子ボルトという、これまでに検出されたガンマ線よりも一桁高いエネルギーを持つガンマ線を大量に検出できたのは、非常に価値のあることです」

データ解析チームを主導した東京大学宇宙線研究所の野田浩司准教授は、今回の観測の意味をそう語る。

ガンマ線バーストの観測は、以前から人工衛星によって行われていた。これまでの観測で、検出されたエネルギーが最も高かったのは、2013年4月27日に観測されたガンマ線バースト(GRB 130427A)。そのとき記録したエネルギーは、約950億電子ボルトだった。

ただし、数百億電子ボルトというエネルギーを持つガンマ線を検出できた例は数えられるほど。

その上、これまでの研究で考えらえていたメカニズムでは、ガンマ線バーストで発生するエネルギーは、主に数千電子ボルトから数百万電子ボルト程度までと想定されていた。

950億電子ボルトという高いエネルギーを持つガンマ線は従来のメカニズムで生じたものなのか、それとも既存の枠では説明できない高エネルギーのガンマ線が放出される現象が存在するのか、宇宙物理学者たちの間では議論が続いていた。

「今回は950億電子ボルトよりも高いエネルギーをもつガンマ線が、数個ではなく、数千個検出されています。つまり、非常に高いエネルギーのガンマ線を発生させる現象が起きているということが確定しました。

ある意味『最後の1ピース』がはまったともいえます」(野田准教授)

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最終更新:2019/12/13(金) 23:01
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