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“手料理信仰”の象徴?「料理キット」を使う女性たちの本音【平成食ブーム総ざらい!Vol.16】

2019/12/13(金) 20:03配信

クックパッドニュース

約30年続いた平成は、4月30日に終わりを迎えました。「令和」になった今こそ、平成にあったさまざまな食のブームや事件を振り返ってみるのはいかがでしょうか。昔懐かしいものから直近のものまで、作家・生活史研究家の阿古真理さん独自の視点で語っていただきます。

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主婦の味方「料理キット」の誕生

日本で、1食分の料理に必要な食材がそろった料理キットが発売されたのは、2013年。売り出したのは有機野菜などのインターネット通販で知られるオイシックスだ。その後、らでぃっしゅぼーや、大地を守る会、パルシステムといった安心・安全な食材販売を売りにする食品通販が参入。やがてローソン、セブン‐イレブン、ワタミ、アマゾンなどの大手企業もこのビジネスを始め、食品販売の形態として定着しつつある。

私は2017年にこのビジネスについて取材し、実際に料理キットを使ってみた。使い勝手は会社によって違いがあるようだが、これは単に多忙な人が時短に使うだけではない魅力がある商品と思えた。

まず、レシピと下処理済みの必要な食材がそろった料理キットを使えば、初心者でもたやすく食事の支度ができる。私が取材した時点でも、主婦が不在のときに子どもや夫が料理キットで食事の支度をする例を聞いた。

また、少人数の家庭や多忙な生活で、食材を余らせがちな場合にも、無駄なく使い切ることができる。ただし、食材を買う場合や加工食品を買う場合より割高である。

以前、オイシックスに取材した折、料理キットを開発したのは、小学生以下の子どもがいる女性を対象に調査したところ、加工食品や惣菜を使うことに罪悪感を覚える人が多いことがわかったからだと聞いた。忙しくて料理に時間はかけられないが、加工食品や惣菜を並べるだけではサボったようで心苦しい。食材を切って火にかけるなどひと手間かける料理キットなら、その罪悪感も薄れるというわけだ。

自宅を離れて働く既婚女性がふえ始めて半世紀余り。三世代にわたって、家庭と仕事を持つ女性たちが自宅で闘ってきた相手は、「手抜きした」と思ってしまう自分自身だったのかもしれない。もちろん家族からそのように思われる可能性もあるが、一番の強敵はおそらく内面化した世間の目だったのだと思う。

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最終更新:2019/12/13(金) 20:03
クックパッドニュース

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