ここから本文です

70人以上死亡…過酷な実態 「岡田更生館」裁判の記録開示 戦後、路上生活者を強制収容

2019/12/13(金) 19:14配信

山陽新聞デジタル

 倉敷市真備町地区で戦後間もなく、県内の路上生活者を強制収容し、劣悪な環境下で70人以上の死亡につながった「県立岡田更生館」。当時、収容者に対する暴力や運営費の横領などで複数の職員らが有罪となった。岡山地検は、山陽新聞社の請求を受けて約70年前の裁判の確定記録を開示。ひもとくと過酷な実態が改めて浮かび上がった。

 岡田更生館は戦禍で住居や肉親、仕事を失い、路上生活を余儀なくされた人たちの収容施設で、ピーク時で500人以上がいたとされる。栄養失調や私刑の横行、過剰収容といった環境下で、大人だけでなく子どもまでもが命を落とした。

 1949年に報道で問題が発覚すると、運営に携わっていた職員らは相次いで起訴。同年から53年にかけて裁判が行われ、10人以上の有罪(最大で懲役1年)が確定した。

 確定記録によると、主要な罪の一つは、収容者に対する暴行や傷害だ。ある職員は、更生館からの脱走に失敗して連れ戻された収容者に対し、殴る蹴るなどの暴行を加えた。

 さらに人手不足を補うため、収容者の中から「真面目な人」を選抜して指導監督に当たらせた上で、同じ収容者に対する暴力を容認した。逃走を企てたので丸木(長さ約90センチ)で尻を何度も殴る▽反抗的な態度を示したのでこん棒(同)でめった打ちにする―などの行為が認められた。

 認定された主な罪のもう一つは、更生館の館長による運営費の横領だ。収容者の飲食費や衛生費などとして県から交付された金のうち90万円超について、収容者の貯金を使った後の埋め合わせ、来館者の接待費、妻の入院費などに流用した。

 虚偽の領収書を作成し、収容者の飲食物や日用品の購入に金を使ったように装う、工作もしていたという。

 戦後の混乱期、更生館への交付金は施設規模を考えるとわずかしかなく、広島高裁(当時)も「収容者の最低生活を維持するに足るものといえない」と指摘している。そうした状況下で行われた館長の横領を「自己の体面利益に関するものと認め得る」と断じた。

1/2ページ

最終更新:2019/12/13(金) 19:17
山陽新聞デジタル

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事