ここから本文です

「かわいすぎ!」ピカチュウやモンスターボールの和菓子が話題…「畑違い」から飛び込んだ職人の挑戦

2019/12/13(金) 16:15配信

まいどなニュース

 和菓子といえば、おまんじゅうやどら焼きなど庶民的なもの以外は、ちょっと高級でなんとなく手が出にくいイメージ…ですが! 今、子どもに人気のピカチュウにピッピ、ヒトカゲなどポケモンワールドを再現した上生菓子がネットで話題になっています。手がけるのは自らを「和菓子表現者」と名乗る若手菓子職人…。一体何者なのか、早速お話を聞いてみました。

【写真】これが和菓子? ピカチュウのフィギュアにしか見えない

 土屋タダヒロ(@TadahiroTsuchi2)さん。山形県の老舗和菓子店で働く傍ら、自らのお菓子をツイッターやYouTubeなどに投稿。今月3日にツイートした「俺はポケモンリーグの頂点にいる!」と投稿したポケモンマスターもびっくりのポケモン和菓子の数々は「もったいなくて食べられない」「なんというクオリティ!」などと反響を呼び、1万件のリツイートと2万件のいいねを集めました。さらに、子どもたちや外国人観光客らの前で和菓子を作る実演イベントも月1~2回開いています。しかも、いずれも仕事の合間に!というから驚きです。

 そんな土屋さんが和菓子職人になったきっかけは偶然でした。学生時代はコンピューターデザインが専攻で、卒業後もデザイン関連の会社に就職。ですが「本当は絵本作家になりたかった」といい、絵に専念しようと退職したものの…全く芽が出ず、将来を考え悩んでいた8年ほど前、たまたま入った和菓子店で上生菓子の美しさに魅入られたといいます。

 「どっちかというと小さい頃は洋菓子ばかりでしたけど、和菓子の持つ伝統とか奥深さに惹かれて…。例えば『時雨』というお菓子は雨上がりに雲が割れてそこから光が差すさまを表現しているんですが、ただ見た目が美しく、おいしかったら終わり―じゃない。もともと凝り性ではあったんですが、もっと深く、もっとその菓子の世界を表現したい、と思うようになって」…と「和菓子愛」を語りだすと止まりません。

 とはいえ、職人の世界も甘くはありません。店は大正時代から続く老舗だったこともあり「ずっと下積みでしばらく材料を触らせてもらうこともできなかった」。土屋さんは親方の背中を見て、家に帰って一人で勉強を重ね、さらに月1~2回、新幹線やバスで東京にある和菓子組合の勉強会にまで足を運び、老舗和菓子店の跡取りたちに交じり、技術を学び、腕を磨きました。

 5年ほど前に移った店でようやく商品を作るようになり、仕事終わりにトトロなどを趣味で作るように。キャラものはマニュアルもなく試行錯誤しながらでしたが、2年ほど前からSNSで紹介したところ、大きな反響が。店頭販売ではなく、個人的な依頼やイベントのために作るだけですが「和菓子って素晴らしい伝統なのに、やっぱり一般の人にはちょっと敷居が高い。あまり興味がなくても面白いと感じ、多くの人に和菓子の魅力に気づいて貰えたら」と話します。

 さらに昨年11月からは実演パフォーマンスも披露。なぜかキツネのお面をかぶった姿ですが「僕自身が駆け出しのころ、親方が菓子を作っているのを『魔法』のように感じたんですよね。和菓子って実はすごく作るのが難しいんですが、それが、あっという間にできていくんですから…。そんな感動を子どもたちや外国の方が感じてくれたらうれしいです」と話します。

 ただ「業界が縮小しているのも肌で感じる」とも。実際、タウンページデータベースによれば、全国の「タウンページ」の菓子店(和菓子)カテゴリに登録された店の件数は、2015年に1万1422件。10年前と比べ3千件以上減少しています。小規模店舗が多く、後継者不足や売り上げの伸び悩みなどにも直面しているといいます。

 それでも、最近では土屋さんのように、若手を中心とした職人たちがSNSを駆使して新たな魅力を発信したり、挑戦したりする姿も目立つようになりました。「僕自身、まさか和菓子職人になるとは思いもよらなかった」と土屋さん。来年には自分の店を構える予定で「和菓子って本当に、楽しい。自分なりに良さを伝えていきたい」と力を込めます。

 ちなみに、土屋さんのイチオシはやっぱり「ピカチュウ」。立体的なものはフィギュアに間違われることもあり、お客さんがびっくりして喜んでくれるのが、たまらないんだそうです! 本物、見てみたい!

(まいどなニュース・広畑 千春)

まいどなニュース

最終更新:2019/12/13(金) 17:56
まいどなニュース

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事