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小林亮太が挑む舞台「鬼滅の刃」。役に自分にポジティブに向き合う彼の笑顔にきらめく決意

2019/12/14(土) 10:01配信

エムオンプレス

彼は今、すべてのプレッシャーをエネルギーに変えようとしていた。

累計発行部数2,500万部(2019年12月4日時点)。今、漫画界で熱い視線を集める『鬼滅の刃』がついに舞台化となる。
主人公・竈門炭治郎を演じるのは、小林亮太。

【画像】舞台「鬼滅の刃」主演 小林亮太 撮り下ろし写真

初日を迎える頃には21歳になっている青年は、ビッグタイトルの主演という大役を前に、いつもと変わらない柔らかな笑顔を見せた。30分強のインタビューで、何度も繰り返し出てきたのは“楽しみ”という言葉。人を楽しませることが何よりも大好きな生粋のエンターテイナーは、今、何よりも自分の人生を楽しんでいた。

取材・文 / 横川良明 撮影 / 冨田望

今は不安も乗り越えて、やってやろうっていう気持ち
ーー 主演おめでとうございます。情報解禁を経て、今、どんな気持ちですか?

発表されるまでは、どうなるんだろうっていう気持ちが強かったんです。いろんな意見があるのはわかっていたし。だからビジュアルが発表されたあとも、僕はあえて全部の意見を見たくて、SNSもチェックしました。

ーー メンタルが強い……!

きっと強い派です(笑)。もちろん刺さる言葉もありましたけど、どの意見もそれだけ原作への熱意があるからだというのもわかるし。そのうえで、今は不安も乗り越えて、やってやろうっていう気持ちです。もうすぐ稽古が始まって、年が明けたら本番なんだと思うと、本当に楽しみですね。

ーー 原作の中でグッときたシーンはどこですか?

ありすぎて挙げきれないんですけど(笑)、今パッと浮かぶのは、第1話で妹の禰豆子を守ろうと炭治郎が冨岡義勇に土下座をするところ。実は、最初に読んだときはまだ序盤ということもあって気持ちがついていけなかったんです。でも、最新話までひととおり読んだうえでまた最初から読み返したときに、殺された家族への想いとか、その中で唯一生き残った妹をどうしても守りたいという気持ちとか、いろんなものが自分の心を通ってきて。瞼がぶわっと熱くなって、一気に涙がこぼれてきました。

本番までの間に「全集中の呼吸」は自分のものにしたい
ーー 舞台では刀を使ったアクションが大きな見どころになりそうです。

稽古に入ってからじゃ間に合わないなと思って、今まさに準備をしているところです。(*取材は11月に行いました)

ーー 具体的にはどんなことを?

刀を自分の身体の一部にしたくて。時間があれば刀を持って走ったり、公園で木刀を振ったりしています。たぶんご近所の皆さんには「この子、何しているんだろう?」って目で見られていると思うんですけど……(笑)。

ーー 通報されないように気をつけてください(笑)。

なので、なるべく人目のつかない時間に(苦笑)。でも本当、それぐらいやらないと炭治郎には追いつけないので、できる限りのことをやり尽くしたいというか。できれば、僕も山にこもって(炭治郎の好物の)たらの芽を食べてしばらく過ごしたいです(笑)。

ーー 常人ではできないような動きがいっぱいありますしね。

本当にそうなんです。これをどう僕が体現していくかは課題かなと。今は個人的にパルクールみたいな動きを取り入れられないか試しているところです。ただ、ドジなんで、気を抜くとスネを打ったりするんですけど(笑)。

ーー 持ち前の身体能力を存分に活かして臨むことになりそうですね。

振付に左(HIDALI)先生のお名前もありますしね。いったいどんな振付がつけられるかはまだわからないんですけど、ダンスは長くやってきているので、いろんな動きを見せたいですし。今のうちに日本だけじゃなく海外のアーティストの方のレッスンに行ったりして、少しでも身体表現の引き出しを増やしておきたいなって考えています。

ーー 「水の呼吸」が舞台上でどう表現されるのかも気になります。

どうなるんでしょうね。とりあえず「全集中の呼吸」を練習しようと思って、この間、走りながらハァハァしたら過呼吸になりかけて。“ダメだ、違う、こんなんじゃないんだ!”ってなりました(笑)。

ーー まだ会得は難しそうですね(笑)。

「全集中“常中”」まではさすがに厳しいかなと思うんですけど、せめて本番までの間に「全集中の呼吸」は自分のものにしたいなと。漫画だから、TVアニメだから、で片付けたくないんですよね。同じひとりの人間として炭治郎がやっていることだから、自分にも厳しく求めたいです。

ーー TVアニメでは花江夏樹さんが炭治郎のCVを務めています。花江さんとお会いになったことはありますか?

はい、あります。本当に炭治郎そのものというか、優しくて素敵な方でした。僕自身、花江さんの演じる炭治郎が大好きなんですけど、花江さんのほうから「自分らしくやって欲しい」と言っていただいて。その言葉に後押しをしていただいたというか、花江さんの炭治郎にリスペクトを込めたうえで、自分の炭治郎をつくっていこうってスイッチが入りました。

ーー 同期の鬼殺隊士として、我妻善逸 役を植田圭輔さん、嘴平伊之助 役を佐藤祐吾さんが演じます。

この間、3人でお話ししたんですけど、その空気感だけでいいチームになりそうだなって思いましたし、僕にとっての稽古の癒しになるなって気がしました(笑)。原作でも、シリアスめなシーンなのに“それ、今言えるんだ?”みたいなちょっとシュールな笑いが入ったりするじゃないですか。あれがすごく好きで、この3人でああいうユーモア溢れる空気感もしっかりつくっていけたらと思います。

お芝居はその瞬間を生きることがすべてだと『アマゾンズ』で学んだ
ーー 炭治郎は、鬼殺隊に入隊するまで過酷な修行に挑みます。役者・小林亮太にとって、自分を大きく成長させてくれた“修行”のような作品があるとすれば?

どの作品もそれぞれ成長があるので選びきれないんですけど、何年経っても撮影の情景が思い浮かぶという意味では、『仮面ライダーアマゾンズ』(以下『アマゾンズ』)です。谷口賢志さんをはじめ、先輩方の人間としての生き様、役者としての生き様を肌で感じられたことが大きくて、勉強になることばかりだったし、現場に行くのがすごく楽しかったです。

ーー 特に学びになったのは?

『アマゾンズ』のとき、まだ学生で、実は撮影とテスト期間が重なって、かなりスケジュール的にもハードだったんです。それで、一度だけ台詞と学校の勉強がごっちゃになって、(カメラ)テストで自分の台詞がうまく出てこなかったことがありました。そのときに石田(秀範)監督に呼び出されて。監督は僕がテスト期間であることも知ったうえで「できない自分に対する苛立ちを役の葛藤にぶつけて吐けばいい」と。

石田監督は「人は目の奥に全部が表れるから、嘘だったら何も言わなくていい」というディレクションをしてくださる方なんですね。だから、そのあとも監督は絶対に僕に台本を見せようとはしませんでした。それは、“この状況でやるしかないんだからやれ”という監督からのメッセージで。とはいえ、周りには何十人ものスタッフさんがいて。お芝居としても、そう何回も撮り直しができるようなシーンでもない。

そのときの窮地に立たされた感覚は今でもすごく鮮明に覚えていて。もうやるしかない気持ちでカメラの前に立ったんですけど、その瞬間、今まで感じたことのないようなものが奥底から湧いてきたんです。
あの瞬間を体験できたことで、演じるときはとにかく目の前の人と向き合うことが大事なんだと知ることができた。お芝居はその瞬間を生きることがすべてなんだと学べた気がします。今でも石田監督は僕の恩師です。

人を笑顔にするために、僕はこの仕事を続けている
ーー ではもうひとつ。炭治郎は身を張って妹の禰豆子を守りますが、小林さんにとって何より守りたいものは何ですか?

人を笑顔にすることですね。この世界に入ったのも、もともとは親がSMAPさんが大好きだったから。僕自身も嵐さんが大好きで、この間も20周年記念の日にSNSを始めたり、いろんなことをされていましたけど、あれはきっと応援してくれる人たちに笑顔を届けるために今何ができるかを考えたうえでの新しい一歩だったと思うんです。そういうのを見て素敵だなと思ったし、あらためて周りを笑顔にすることって大事だなって実感しました。

ーー 人を笑顔にしたいという想いには、小林さん自身がエンターテイナーに魅了されてきた原体験があるわけですね。

そうだと思います。一時はクールな人に憧れたりもしたんですけど(笑)、ずっと追いかけてきた嵐さんの姿を見ると、やっぱり自分はこっちなんだなって思うんですよ。クールぶってもすぐ笑っちゃいますし(笑)、楽しいことが好きだから。

ありがたいことに舞台「鬼滅の刃」や「僕のヒーローアカデミア」The “Ultra” Stageなど、大きな作品に携わることで、自分を見てもらえる目もどんどん今増えていて。時々周りの目を気にしすぎてしまうことがあるんですけど。まず大事なのは、自分が楽しむこと、楽しめることだよなって。自分が楽しんでいないと、人を楽しませることもできないですしね。

ーー おっしゃるとおりビッグタイトルを任される機会が続きました。プレッシャーを感じることも増えてきたのでは?

それはあります。舞台「鬼滅の刃」の情報解禁のときも、前の日の夜から眠れなくて、朝も全然食べ物が喉を通らなかったですし。今も、これは全然悪い意味じゃなく、舞台「鬼滅の刃」のことを考えているうちに、気がついたら夜が明けていた、ということがあります。

でも、20歳でこれだけの経験をさせてもらえるのって本当に幸せなこと。たしかに今の自分のキャパは超えているけれど、そんなの努力をすれば広げられるし、この壁を乗り越えたら、その先にまたもっと大きな壁があるんだろうなって考えるとすごく楽しみで。今、本当に楽しみなんです、自分の人生が。

ーー すごく言葉から伝わってきます。

もともと大小かかわらず、20歳で作品の真ん中に立ちたいというのは、ひとつの目標でした。それをこうして叶えられたことが本当にありがたい反面、ここで“確固たる自分”を生み出せないまま波に飲まれていくと、きっと25歳、30歳になったときにキツくなるだろうなとも思っていて。

ーー “確固たる自分”。

『鬼滅の刃』にも出てくる言葉ですけど、今、僕の中では“確固たる自分”がキーワードになっていて、それをちゃんと本番までに見つけたいなと思っているんです。

お仕事に関しても、流されるんじゃなくて、ひとつの作品を終えるたびに、ちゃんと一度踏みとどまって、今の自分を確かめながら、一歩ずつ進んでいきたい。ありがたいことに、今お世話になっている事務所の方とも“これからはこういうことをしていきたい”ということを話し合いながらやらせてもらえているので、すごく感謝しています。

ーー では、最後にぜひ今後のビジョンを聞かせてください。

役者なんだけど、“アーティスト”になりたいと思うようになりました。舞台でいえば、お芝居だけじゃなく、歌もあれば踊りもある。そのどれももっと磨いていきたいし、全部ひっくるめて、作品に応じた表現で、想いを届けられるのが一番の理想。何かに固執せず、いろんなカタチで、より多くの人を笑顔にすることが、20代の目標のひとつです。

ヘアメイク / 山崎順子

(c)吾峠呼世晴/集英社
(c)舞台「鬼滅の刃」製作委員会2020

小林亮太が挑む舞台「鬼滅の刃」。役に自分にポジティブに向き合う彼の笑顔にきらめく決意は、【es】エンタメステーションへ。

最終更新:2019/12/14(土) 10:01
エムオンプレス

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