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【シトロエン=ふわふわ】イメージの正体は 伊デザインとハイドロ技術の融合 BXを振り返る

2019/12/14(土) 5:50配信

AUTOCAR JAPAN

時代を超越したハイドロのアシ

text:Takuo Yoshida(吉田拓生)

photo:Koichi Shinohara(篠原晃一)

【写真】取材したシトロエンBX【ディテール】 (41枚)

風のない鏡のような湖面に静かにボートをこぎ出した瞬間の軽く滑空するような感覚。

シトロエンのハイドロニューマティック・サスペンション、いわゆる「ハイドロ」を経験したことがない人に、この驚きを的確に伝えることは難しい。

だがおおよそ、クルマ世界では他に似るものがない感触なのである。

近年の自動車のサスペンションは非常に複雑になっている。バネレートは当たり前のようにプログレッシブ(累進的に変化するもの)になっているし、ダンパーも様々な方式で減衰が変化する。

走行モードでCOMFORTを選べばゆったりとした乗り心地が享受できるが、その裏では走行性能全体を統括する電子制御が光の速さでうごめいているのだ。

そんな21世紀的なシステムと、シトロエンが64年前にDSで世に問うたハイドロを比べた場合、こと懐の深い乗り心地に関してはシトロエンに分がある。

複雑怪奇な現代の自動車作りのルールを考えれば、単純比較することはできないが、シトロエンの先進性に驚くほかないのも事実なのである。

金属スプリングの代わりに油圧とガス圧で車高を支えるハイドロ。

ブランドのあり方まで左右するようなこのシステムの正体を、今現在、最も手短に味わえる1台があるとすれば、それはBXではないだろうか。

デザインの血縁はスーパーカー

エンブレムがなければどこのクルマかわからない。

そんなクルマが増えている昨今だが、シトロエンに関してそんな心配はいらない。

特に定規を使って直線を組み合わせたようなBXのスタイリングには、車格や時代を超越した強い個性が宿っている。

シトロエンBXは1983年にデビューした5ドア、5人乗りのセダンである。駆動方式はシトロエンの伝統的な手法である前輪駆動で、エンジンは1.4-1.9Lの直列4気筒を横置き搭載している。

サスペンションはDS由来のハイドロが組み込まれ、停止時にはフロアが地面に擦りそうなレベルまで車高が落ちる。

80年代に入ったばかりのシトロエンは、旗艦のCXや、小型モデル(GSA/ビザ/2CV)はあったが、CからDセグメントに相当するミドルサイズのモデルがなかった。

そこで開発されたのがBXだった。

デザインを手がけたのはイタリアのカロッツェリア・ベルトーネでチーフスタイリストを務めていたマルチェロ・ガンディーニ。

彼が手掛けた代表的なモデルはランボルギーニのミウラやカウンタック、ランチア・ストラトス、マセラティ・カムシンといったスーパーカーが多い。

そんな知識を踏まえてBXを見ると、5ドア・ハッチでありながらス-パーカー的な素養を垣間見ることができる。

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最終更新:2019/12/14(土) 5:50
AUTOCAR JAPAN

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