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『ぼくら』シリーズのイズム 30年で変化した“子どもVS大人”の対立構造

2019/12/15(日) 9:00配信

オリコン

■「Film makers(映画と人 これまで、そして、これから)」第29回 株式会社KADOKAWA原田浩幸プロデューサー

【動画】アニメ版と実写版がクロス!『ぼくらの7日間戦争』特別映像

 宮沢りえが鮮烈なスクリーンデビューを果たした映画『ぼくらの七日間戦争』から31年経った令和元年、『ぼくらの7日間戦争』というタイトルで、宗田理の傑作小説がアニメーション映画化された。実写映画が公開された1988年は、まさにバブル真っ盛り。現在とはまったく趣が違った時代に描かれた作品からときを経て、いまなにを伝えようとしたのか――。本作のプロデューサーを務めた株式会社KADOKAWAの原田浩幸氏に話を聞いた。

■主人公を中学生から高校生へ

 企画の始まりは2016年の冬。2008年に創刊された「角川つばさ文庫」創刊10周年の目玉企画として、創刊タイトルでもあった「ぼくらの七日間戦争」のアニメ映画化が持ち上がった。原作は、1988年に宮沢のスクリーンデビュー作として実写映画化され、主題歌であるTM NETWORKの「SEVEN DAYS WAR」と共に大きな話題となった。知名度は抜群だが、一方で30年前とは子どもたちを取り巻く環境や時代背景も違っており、アニメ映画化の発表時には、ストーリーラインを含め、どんな形で生まれ変わるのか注目が集まった。

 原作、実写版とアニメーション映画の大きな違いは主人公たちの年齢設定。中学生から高校生に引き上げられている。原田氏は「もともとはつばさ文庫の企画ということで、ターゲットは子どもだったのですが、“悪い大人を、自らの知恵と力でやっつける、爽快なストーリー”というぼくらシリーズの持つスピリットと普遍性は決して子ども向けだけのものではないと思い、今回はより広い層に届けたかった」とコンセプトを明かす。

 さらに詳しく狙いについて聞くと「大人や社会は、高校生を都合よく大人扱いしたり、子ども扱いしたりする。その特殊な期間の子たちを中心に据えることで、よりぼくらシリーズの持つスピリットが伝わると思ったんです」と説明。

 確かに設定を中学生から高校生にすることで、大人との対立構造は複雑化し、より多くの世代からの共感ポイントは増える。原田氏はさらにもう一つ、原作や実写版と、本作の大きな違いを挙げた。それは大人と子どもの対立構造の変化だ。「ネタバレになるので詳細は言えませんが、30年以上前の日本社会が背景となっている原作や実写版では、当時の厳しい管理教育、教師による体罰など、子どもの視点から見てわかり易い“悪い大人”が描かれていましたが、本作ではそこは大きく変わっているところです。逆に言えば、子どもから大人まで、それぞれの役割の人がいるなかでの正義というか、自分たちのすべきことが描かれているので、単純な勧善懲悪の構造にはなっていません」。
 

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最終更新:2019/12/15(日) 9:00
オリコン

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