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【銀行の「口座維持手数料」導入問題】法的見解と今後の見通し 預金者のメリットと上手なつきあい方を解説

2019/12/15(日) 12:05配信

マネーの達人

2019年12月6日、三菱UFJ銀行が来年秋にも年間1200円の口座維持手数料を導入することを検討している報道がされました。

現時点での計画では、口座維持手数料の対象となるのは2年間取引のない「不稼働口座」のみで、かつ既存口座は対象にしないとのことです。

口座維持手数料については、2017年12月にも三菱UFJ銀行に加えて三井住友銀行、みずほ銀行といったメガバンクが導入を検討し始めたと報じられていました。

いよいよ口座維持手数料の導入が現実味を帯びてきたわけですが、納得できないという方も多いことでしょう。

この記事では、

「預金者に無断で口座維持手数料などを導入することがそもそも法律的に許されるのか」
ということを解説します。

また、結果的に口座維持手数料の導入が避けられない場合、メリットはあるのかという点にも触れていきます。

口座維持手数料の導入は法的に許されるのか

口座維持手数料の導入に対しては、

「海外では当たり前のように導入されている」
「銀行のサービスを無料で受けられる方がおかしい」

などの理由で肯定的な意見も一部にはあります。

しかし、おおかたの意見は否定的です。

たしかに、貯めるため、あるいは保管するために口座にお金を入れておいたのに、そのお金が減らされてしまうのではたまったものではありません。

それ以前に、各預金者の個別の同意を得ることもなしに勝手に口座維持手数料などを導入することが法的に許されるのかという疑問が湧いてこないでしょうか。

まずは、この点を解説したいと思います。

■新規口座に口座維持手数料を導入するのはOK
預金者と銀行の法的関係は、消費寄託契約を主としつつ委任ないし準委任の要素も混合した契約関係です。

法律用語ばかりでわかりにくいと思いますが、ここは重要な点ではないので説明を割愛し、解説を続けます。

契約関係にある預金者と銀行との関係は「約款」によって拘束されます。

普通預金口座を開設したら「普通預金約款」や「普通預金規定」などという名称の、小さな文字で決まりが書かれた紙を渡されます。

預金者も銀行もお互いにその約款に合意して契約関係に入ったわけですから、以降はその約款を守る必要があります。

ということは、「口座維持手数料を徴収します」という規定が約款に入っている場合には、口座維持手数料を徴収することに何の問題もありません。

つまり、これから新たに開設する口座に口座維持手数料を導入するのはOKということです。

■既存口座に口座維持手数料を導入するのも不可能ではない
既存口座の約款の中にも、口座維持手数料について「別途定めるところにより徴収することができる」という規定が入っている場合があります。

この場合は、手数料の金額などの内容が不合理なものでない限り、口座維持手数料の導入もOKといえるでしょう。

問題はそのような規定が入っていない場合です。

この場合には、各預金者の個別の同意なしに、預金者の不利に約款を変更することができるのかという問題が出てきます。

結論をごく簡単に申し上げると、

「変更する必要性が高く」
「変更内容が合理的なものであり」

「預金者の不利益が最低限にとどめられ」

「事前の周知」

が徹底されていればOKです。

低金利が長引き、金融機関の収益悪化している現在の社会情勢では、変更する必要性が認められてしまうでしょう。

変更内容も、月数百円程度の手数料であれば合理的と認められてしまうと考えられます。

さらに、預金者の不利益についても、口座を解約すれば手数料の徴収を免れることができるという理屈で「最低限」の要件を満たしてしまうことでしょう。

したがって、事前の周知さえ徹底すれば既存の口座に口座維持手数料を導入することも法的に可能ということです。

■今後の見通しについての私見
三菱UFJ銀行が口座維持手数料の導入を検討しているのは、現在のところ新規に開設される口座のみです。

この点、将来的には既存口座にも広がるであろうという見解もありますが、そう簡単には広がらないでしょう。

上で解説したとおり、既存口座に口座維持手数料を導入することも法的に可能ですが、実際にはかなり高いハードルです。

だからこそ、三菱UFJ銀行も既存口座は検討の対象から外したのでしょう。

りそな銀行ではすでに不稼働口座に対する口座維持手数料を導入していますが、やはり対象は原則として2004年4月1日以降に新規開設された口座に限っています。

将来的に既存口座にも口座維持手数料が導入される可能性も否定できませんが、それほど近い将来ではないと考えられます。

ただし、これは私見に過ぎないことをお断りしておきます。

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最終更新:2019/12/15(日) 12:05
マネーの達人

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