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「強み・適性」で仕事を選んではいけない科学的な理由

2019/12/15(日) 10:15配信

LIMO

 就職活動や転職活動の際、「自分の強みや適性に合った仕事を選ぶべき」というアドバイスを受けた人は多いだろう。特に近ごろは、転職・複業(副業)・独立など、キャリアの選択肢は多様化する一方だ。「本当に自分に適した仕事は何だろう?」と悩み、自己分析や適性検査から仕事を選ぼうとしている方も多いのではないか。

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 しかし、『科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方』の著者であり、10万本の科学論文を読破してきたサイエンスライター・鈴木祐氏は、「強み・適性から仕事を選ぶのはおすすめしない」と言う。一体なぜなのか、鈴木氏に解説してもらった。

個人も企業も「適性」を重視する

 キャリア選びの世界では、「適性」というフレーズをよく耳にすると思います。この世のどこかには自分が生まれ持った能力にピッタリな仕事が存在しており、それさえ見つけてしまえば生き生きと働けるに違いない……。そんな考え方のことです。

 世間的にも「適性」を重視する企業は多く、知能・興味・性格・過去の職歴といったさまざまな要因をチェックした上で、才能のある人材を見極めようと努力を続けています。世にあふれる「職業適性検査」などを受けて、「あなたは人をサポートする仕事に向いています」や「リーダーシップを発揮できるタイプです」などと言われたことがある人も多いでしょう。

 それでは、私たちは本当に「ピッタリの仕事」を事前に見抜くことができるのでしょうか?  この世の中には、自分の適性を存分に活かせるような仕事がどこかに隠れているのでしょうか? 

インターンシップも前職の経験も判断には役立たない

 この問題について調べた研究の中でもっとも精度が高いのは、心理学者のフランク・シュミットとジョン・ハンターによる「メタ分析」です。メタ分析とは、「複数の研究論文の分析結果を統合した上でさらに分析すること」を言います。

 彼らは過去100年におよぶ職業選択のリサーチから、質が高い数百件を選び、すべてのデータをまとめて「仕事のパフォーマンスは事前に見抜くことができるのか?」という疑問に大きな結論を出しました。この規模のリサーチは他になく、現時点では決定版といっていい内容です。

 論文では「事前面接」や「IQテスト」といった適性検査をピックアップし、それぞれの相関係数(2つのデータの関係を表す指標。1に近いほど関係が強く、0.5以上の値を取れば「関係がある」と判断されることが多い)を求めました。ざっくり言えば、「私たちが就職した後にその企業で活躍できるか?」の判断に役立つテストは存在するのかどうかを調べたわけです。

 まずは全体的な結論を見てみましょう。それぞれの適性検査の信頼度を数字が高い順に並べると、次のようになります。

1位 ワークサンプルテスト(0.54)
2位 IQテスト(0.51)
〃 構造的面接(0.51)
4位 ピアレーティング(0.49)
5位 職業知識テスト(0.48)
6位 インターンシップ(0.44)
7位 正直度テスト(0.41)
8位 普通の面接(0.38)
9位 前職の経歴(0.18)
10位 学歴(0.1)

 一部に耳慣れない言葉があるので説明しておきます。

・ワークサンプルテスト:会社の職務に似たタスクを事前にこなしてもらい、その成績で評価する手法。
・構造的面接:「あなたが大きな目標を達成したときのことを教えてください」のような、過去のパフォーマンスに関する質問を事前にいくつか用意しておき、すべての応募者に同じ問いかけを行う。
・ピアレーティング:一定期間だけ実際に企業で働いた後、そのパフォーマンスを社員に判断させる。インターンシップの改良版。
・正直度テスト:応募者がどれだけ正直に行動するかどうかを測る性格テスト。

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最終更新:2019/12/15(日) 10:15
LIMO

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