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【関連あるか】救急車のサイレン音量、じつは昭和26年から変わらず 病院への搬送時間は20年で12.3分増

2019/12/15(日) 6:00配信

AUTOCAR JAPAN

病院までの時間、20年前に比べ12.3分増加

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

救急車が現場に到着するまでの時間、そして傷病者を病院に収容するまでの時間が年々伸びていることをご存知だろうか?

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平成30年版「消防白書」のデータによると、平成29年の現場到着所要時間は平均8.6分。平成19年に比べて+1.6分、平成9年では+2.5分だ。

同様に病院収容までの所要時間は平均38.3分で同じく+5.1分、+12.3分と大幅に増加している。

これには様々な理由がある。

高齢者人口の割合が増加し病院のベッドが空いておらず受け入れ不可能ということもあるだろう。

また、救急車をタクシー代わりに使う軽症者の利用が大幅に増え、軽症であることを理由に受け入れを断る病院が増えた結果、受け入れ対応してくれる病院を探すのに時間がかかってしまう実情もある。

そしてもう1つ。救急車が近づいても退かないクルマが増えたことも重要な理由。

確かに街を走っていて、救急車が接近していても全くわれ関せずのクルマが増えたという印象はある。中にはマイクで呼びかけられるまで救急車の接近に気づいていないクルマもいる。

筆者が数年前から感じていたことは、「日本の救急車はサイレン音がなぜあんなに小さいのか」ということだ。

アメリカの救急車はけたたましいサイレン音で、車体の色やデザインも派手。緊急走行中は赤や青の光で、すさまじくさらに賑やかになる。

68年前から変わっていないサイレン音量

取材を進めるうちに、日本臨床救急医学会雑誌に掲載されたとある学術論文に出会った。

「救急車サイレン音は自動車運転者に聴こえているか―自動車運転時の騒音とサイレン音量の比較-」という論文だ。広島国際大学の安田康晴教授(救急現場活動学)を筆頭とする。

そこには筆者が知りたかったことがすべて、確実な検証データと共に掲載されていた。

もっとも衝撃だったのは、道交法で定められた救急車のサイレン音量の基準が1951年(昭和26年)から変わってないという事実である。

緊急自動車のサイレン音量はその前方20mの位置で90-120dB以下(実際の救急車は95-96dBが主流)であることが定められている。

当時は現在より大幅に交通量が少なく、エアコンが普及していないため窓を開けて走るのが普通だった。

調査によると現在は外気温に関わらず窓を開けているクルマは4‐5%。交通量はもちろん走行状態や気密性などが68年前と今とでは全く違うのにサイレン音量は変わっていないのだ。

さらに救急車のサイレン音は、周波数帯が770-960Hzと消防車の300~850Hzに比べてかなり高い。

音量の基準は同じでも周波数によって聴こえ方はかなり異なる。

また、聴力は加齢とともに高周波数域の音が聴こえにくくなるので高齢者が増えた現在、救急車のサイレン音が聞こえづらいドライバーも確実に増えていると言えるだろう。

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最終更新:2019/12/15(日) 6:00
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