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和牛遺伝資源保護 不正流通追跡が課題 現場負担減も焦点 農水省検討会

2019/12/18(水) 7:09配信

日本農業新聞

 農水省の有識者検討会は17日、和牛の精液・受精卵の知的財産保護の制度設計に向け、論点を整理した。遺伝資源を改良の成果として保護し、不正行為については差し止め請求権や刑事罰を設けることが有効だとした。不正流通した精液・受精卵の使用や譲渡を巡る規制範囲、現場の負担などが今後の議論の焦点となる。

 同省は来年の通常国会の家畜改良増殖法改正案を提出する。知的財産としての保護制度の設計も併せて法改正などで対応する方針で、検討会が提言をまとめる予定だ。

 論点整理では、財産価値のある情報として位置付けた上で、不正取得などの行為を規制する方向を明記。差し止め請求権や刑事罰を設けた上で、損害賠償請求の被侵害者の負担軽減措置なども盛り込んだ。

 検討会は、論点整理を踏まえて年明けに提言の取りまとめ作業に入る。焦点となるのは、正当な手続きで取得・利用した遺伝資源でも、交配履歴をさかのぼると不正取得が介在していた場合の扱いだ。

 論点整理では、不正使用によって生まれた新たな精液・受精卵の使用・譲渡についても「規制対象とすることが有効」とした。ただ、正当な手続きで改良に取り組む農家らへの影響を指摘する声も多い。

 家畜改良事業団の高橋勉理事は「計画交配の段階で不正がないことは生産者に確認する。ただ、回答が真実かの確証を得るのは非常に難しい」と述べ、現場実態を踏まえた規制範囲の設定が必要だと改めて強調した。

 確実な保護に向けて、譲渡を巡る契約の徹底など、現場の取り組みが課題になる。弁理士の越智豊氏は「トレーサビリティー(生産・流通履歴を追跡する仕組み)が一番ポイントになる」と指摘した。今後の制度設計で、保護強化と現場負担軽減の両立も論点になる見通しだ。

 検討会では米国や中国などへの和牛輸出が拡大する見通しを踏まえ、海外からの和牛遺伝資源への注目度も増す可能性を指摘する声も相次いだ。家畜人工授精所の稼働状況や管理の実態把握の徹底を訴える意見が出た。

日本農業新聞

最終更新:2019/12/18(水) 7:09
日本農業新聞

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