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元農水次官に実刑、ひきこもりだった孤独死ライターが思う「人生の分かれ目」 気づいたら母を蹴っていた私

2019/12/22(日) 7:00配信

withnews

私は、孤独死の取材を2015年ごろからはじめているが、孤独死する人の多くはひきこもり状態だ。そんな中、ひきこもり状態だった長男を殺害した元農水事務次官の父親に、東京地裁で開かれた裁判員裁判で実刑判決が下された。私は、率直に「自分が家族を殺していたかもしれないし、殺されていたかもしれない」と感じた。なぜなら、私も中学からひきこもりだったから。殺された長男と私を分けたものは何か? ひきこもりを「人生の終わり」にしないためにできることを伝えたい。(ノンフィクションライター・菅野久美子)

【写真】孤独死取材の現場、ドアを開けたら大量の……人生が凝縮された部屋の様子

暴力をともないやすいひきこもり

元農水事務次官の熊沢英昭被告が長男の栄一郎さんを殺してしまうという痛ましい事件が起こり、東京地裁で開かれた裁判員裁判で懲役6年(求刑懲役8年)の実刑判決が下された。

長期化するひきこもりと家庭内暴力が熊沢被告を追い詰めてしまったのではないか。

精神科医である斎藤環筑波大教授は、朝日新聞の取材に、ひきこもりの10%弱のケースに慢性的な暴力が伴い、50%程度に一過性の暴力が伴うと指摘している。斎藤教授は暴力と引きこもりは、親和性が高いと言わざるを得ない状況があると話す。しかし、それは家族などによる内に向いたもので、通り魔など外に向くことは稀だという(朝日新聞デジタル2019年6月20日より要約)。

自分の中学時代、長男の境遇と重なる

私がこのニュースを見て感じたのは、自分が家族を殺していたかもしれないし、殺されていたかもしれないということだ。

私自身、ひきこもり経験者で、家庭内暴力の当事者である。小学生からいじめに遭い、親の勧めで、中高一貫の私立中学に進学。しかし、そこでもいじめに遭い、中学二年生から本格的な不登校となり、家にひきこもるようになった。

長男と、境遇が重なる。

週刊朝日の報道によると、長男は、中学2年生ころから、イジメが激しくなり、クラスでは孤立。筆箱で頭を叩かれたり、シャーペンで背中や手を刺されたり、塩を鼻に押し付けられたりされていたという。やられても、ほとんどやり返すことはなかったと報じられている。(週刊朝日2019年6月5日)

私もイジメられているときは、心が死んでいたようで、やり返すことはなかった。

しかし、次第に学校に行くことが億劫になり、朝、泣きながら布団にかじりついた。

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最終更新:2019/12/23(月) 11:18
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