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【#実名報道】京アニ事件、届かなかった実名報道する「おことわり」 新聞社内 でどんな議論があったのか

2019/12/23(月) 10:00配信

京都新聞

「遺族をそっとしてあげてほしい」「実名で犠牲者を報道する必要はない」。36人が死亡した京都アニメーション放火殺人事件では、犠牲者の実名を報じたマスメディアへの抗議が相次いだ。そうした批判を報道機関はどう受け止め、なにを考えたのか。現場を振り返る。(京都新聞)

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安否報道できず、40日間の一部匿名

今年7月18日。「けいおん!」や「涼宮ハルヒの憂鬱」などで知られるアニメ製作会社「京都アニメーション」(京アニ)の第1スタジオ(京都市)で、社員36人が死亡、33人が重軽傷を負った放火殺人事件が発生。京都府警捜査1課が最初に会見したのは、発生翌日。この日、被害者名を府警は発表しなかった。

爆発的な火災により遺体の損傷は激しく、病院の救急救命室ではぎりぎりの治療が続き、60人以上 の被害者に来客が含まれているかどうかも未確定な段階だった 。1課長会見の時点で身元の特定作業は難航しており、死者の数も増えていく 。安否情報を含めて災害に準じる取材態勢を各社は敷いていた。

会見で、犠牲者の身元確認の進み具合や、名前の発表方法について記者たちから質問が相次いだ。京都府警は、従来の殺人事件ならば犠牲者の身元判明後は速やかに実名を情報提供してきた。だが、この日の会見で捜査1課長は「身元が判明するたびに、さみだれ式に発表することは考えていない。人定に間違いがない段階で(まとまった人数で)節目、節目で発表したい」と異例の方針を示した。

神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が殺害された事件(2016年)で神奈川県警が「匿名発表」したが、京アニ事件では、警察の実名「先送り」。京都の捜査1課担当の記者たちはこの日から朝も夜も、犠牲者の身元確認の進み具合や、名前の発表方法や時期について捜査幹部と水面下で厳しい折衝を続けることになる。

事件発生から1週間、ようやく京都府警はその時点で亡くなった人全員(34人)の身元を特定した。だが、またも 被害者の氏名は府警から発表されず、先送りされた。 京アニ事件は69人 が被害にあった大火災だが、親族 にとって安否情報のニーズが高い時期は過ぎつつあった。

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最終更新:2019/12/23(月) 16:51
京都新聞

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