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出世のいちばんの近道は「議事録」。新人に求められる会議の立ち振るまいとは?

2019/12/24(火) 13:00配信

新R25

出世のいちばんの近道は「議事録」

「議事録書いて」と頼まれるのは、たいてい新入社員です。

若手が「権力の階段」を駆け上ろうとしたとき、いちばんの近道が実はこの「議事録」作成です。議事録を通じて会社でどううまく振る舞えるか。それが鍵になります。

上司は議事録を見ることで、新入社員が会議の内容をどれくらい理解しているかをチェックしています。

新人からすれば、上司に対して自分が理解できていることをアピールする機会になります。

議事録では、情報の整理力・編集力も試されます。

すべてを記録するだけなら、ボイスメモでも充分です。議事録を作成するのは「情報の圧縮」をするためです。

会議に出たら1時間だけど、議事録を読めば3分でわかる。それは20分の1に情報を圧縮できているからです。

もしその3分で会議を再現できていれば、時間を生んでいることになります。会議に出なかった人が57分得したことになる。そのあいだ他の仕事をすることができます。

議事録はそういう意味で、組織の生産性を上げるために大切にして、ときに神聖なものなのです。

また、これはあまり大きな声では言えない「裏技」のようなものですが、議事録を記録するなかで、日頃から自分が「この会社はこうあるべきだ」と思っている方向へ、会社の方向性をさりげなく捻じ曲げていくことができます。

「捻じ曲げて」というと語弊があるかもしれませんが、さりげなく誘導していくことが可能になるのです。

議事録は、取材して本を書いているようなものです。記録に残すというのは、いろいろな影響力を読み手に与えることができるわけです。

もちろん言ってもいないことを書いてはダメですが、そうではない範囲でいくらでも印象操作できるのです。

「この人がこう発言した」という事実はひとつです。しかし切り取り方次第で、失言にすることもできます。政治家の失言の多くはこれです。

議事録にどこまで書いて、どのように取り上げるか。どういう人たちに配布するか。議事録を使えば、社内での印象をコントロールできてしまうのです。

たとえば、さんざん議論が紛糾して、55対45でAという方針に決まったという場面。

そのときに、もし書き手が「Aという結論で正しい」と思っていたら、議事録の1ページ目の目立つところに「決定事項:A」と書くでしょう。

そして「出席者、日時、会議、議題、今後のアクション事項」を書く。議論の経緯は、2ページ目以降に適当に要約して書けばいいのです。

ほとんどの人はだいたい1ページ目しか読まない。すると「結論Aになったんだな」と多くの人が思います。

ところが書き手が「Bの意見のほうが正しい」と思っていた場合。1ページ目にはさんざん反対意見を書きます。そして議事録の最後の最後に「Aという方向で模索することになった」と記す。

すると、会議に参加していなかった人に対して、表面的にはAという方向で決まったようだが「反対意見が多かった」「これは前途多難で問題山積みだ」「ひょっとすると方針変更の可能性もあり得る」というイメージを醸し出せるのです。

議事録が恐ろしいのは、こうしてかならず誰かの意図が入るということです。ニュートラルな議事録などないのです。

議事録というものは「誠実で平等な文章」なのではなくて「誰かの目線で、何らかの意図をもって書かれている文章」くらいに思っておいたほうがいい。

少なくともビジネスの現場での議事録とはそういうものです。

歴史を見ても、「議事録を書く」ことは権力者の特権です。

ソビエトなど共産主義の国では、偉い人を「書記長」と呼びます。キムジョンイル総書記もそうです。

「書記」というと「下っ端」のようなイメージがありますが、オープンに議論がなされない、開かれた議会が機能していないような国だと、書記長は最高権力者なのです。

政治もビジネスも、意思決定の場においては、「実際にどうだったか」というよりも「何が文書に記されたか」のほうが事後的には大切になってきます。

だから、書記や議事録とは神聖にして大切なものなのです。

NTTデータ時代は、お客さんとの会議でも議事録を書いていました。これはとても重要な儀式でした。

なぜかというと、出来あがった議事録に対してお客さんにハンコを押してもらうのです。それによって「あのとき、こういいましたよね」という証拠にするわけです。

それくらい議事録は重要な存在であり、会社の行方を左右することもあります。

あまり印象操作に躍起になってもらっては困りますが、まずはそれくらい重要なものなのだと理解しておくだけで、これからのビジネスライフが変わってきます。

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最終更新:2019/12/24(火) 13:00
新R25

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