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「テスラ」で市長と議会対立 公用高級外車理解得ず 市川市 【回顧2019年】

2019/12/25(水) 11:25配信

千葉日報オンライン

 「テスラ」。恥ずかしながら車には詳しくなく、初めて耳にした米国・電気自動車大手メーカーの名称だった。市川市の村越祐民市長が同社の車を市長と副市長の公用車に導入しようとしたことに、市民から疑問の声が相次いだ。市議会とも対立した結果、市長が導入を撤回することで決着をみたが、建設中の市庁舎を巡って市長と市議会で方針の違いが表面化している。

 テスラ社のSUV(スポーツ多目的車)が市の公用車として入札されたことが明らかになったのは6月。リース料金は従来の国産車の倍になるため、市議会や市民からは「高額すぎる」「なぜ外車なのか」と批判や疑問が噴出。「高級外車」の文字が躍り、全国的なニュースとなった。

 市議会は敏感に反応。6月定例議会で「テスラ導入の見直し」を求める決議案が賛成21、反対20のわずか1票差で可決された。市長与党とみられた会派が賛成に回ったり、市長選で対立候補をたてた保守系会派で賛否が割れたりと、さまざまな思惑が交錯した。

 そんな中、お披露目されたテスラ社のSUV「モデルX」。ドアは上に開く「ファルコンウィング」で、加速力も抜群だ。テスラ社を選定した理由について、市長は「企業方針が市が取り組んでいるエネルギーの地産地消という意向と一致した」などと説明。循環型社会の実現を目指す市の方針と施策の象徴に、テスラ社製の公用車を位置づけた。

 ただ、市民の理解を得るのは難しかった。市長は9月に入札予定だった2台目のセダンタイプ導入を撤回。1台目も国産の公用車との差額を市長自身が負担する案を示し妥協を図ったが、市議会側は納得せずリース契約の早期解除を要求した。結局、市長は11月に契約を解除したが「明らかに政策が逆行した。(テスラ車の導入は)さまざまな街の将来像に関わる一部分であり、他の政策が進む中で必ず理解される」と最後まで強気の姿勢を貫いた。

 公用車問題が落着した一方、今度は建設中の市庁舎を巡り市長と市議会で考えの違いが明らかになってきた。市長は8月、手続きのワンストップ化や簡略化を進めた庁舎計画を提示。1階と2階をつなぐ階段の新設を決めた。このため完成が5カ月先延ばしになり、追加の工事費などで計約1億5千万円の予算が新たに必要となる。

 これに対し市議会は9月定例議会で追加工事に慎重な姿勢を求める決議案を可決。12月定例議会では、当初の計画通り来年8月に新しい市庁舎を開庁するよう求める決議案が成立し、市長の新たな計画に事実上の“NO”を突き付けた。市長は「今後も説明を尽くす」とコメントし、来年2月の定例議会に関連予算案を提出することを明言している。

 対立が先鋭化するのか、どちらかが折れ妥協を図るのか。市長、市議会の判断が注目されるが、両者とも出した結論について市民への説明責任を確実に果たしてほしい。

(市川支局長・町香菜美)

最終更新:2019/12/25(水) 11:25
千葉日報オンライン

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