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二つの台風、記録的豪雨 諦めない被災者写真に ラーメン店再開笑顔戻る 【回顧2019年】

2019/12/25(水) 11:35配信

千葉日報オンライン

 2カ月前の10月25日、県内を記録的豪雨が襲った。長柄町で土砂災害が起きていると聞いて取材に駆け付けたが、警戒中の警察官に「通行止めで通れないよ」と呼び止められた。奥では崖が崩れ、乗用車の一部が土砂に埋もれていた。迂回(うかい)路を探すも今度は冠水で通行止め。各地で道路が水に漬かり、目指した町役場にはたどり着けなかった。

 豪雨では車が流されたり、土砂崩れなどにより県内で11人が亡くなった。9月9日、10月12日にも二つの台風が本県に襲来。長期化した停電に甚大な住宅被害、農林水産業にも深刻な影響をもたらした。9月から11月にかけて約10市町を取材し、声を落とす被災者にカメラを向け続けた。「ここまで被害が出るとは」。被災地でこの言葉を何度聞いただろうか。

 館山市などの県南地域はブルーシートに覆われた住宅が軒を連ね、にぎわっていた観光地は閑散としていた。市原市役所の災害相談窓口で出会った80代の女性は、家の屋根が吹き飛び、離れの勉強部屋は全壊した。足の不自由な夫と2人で暮らし、後片付けをほとんど一人で行っていた。女性は「体力的にきつい。家の修復までにどれくらいかかるだろう」と嘆いていた。

 豪雨により広範囲で浸水被害が出た茂原市や長南町などでは、連日泥のかき出し作業に追われ汗を流す住民がいた。氾濫した一宮川近くにある茂原のラーメン店。店は水に漬かったものの、店主の男性は「諦めたくなかった」と2週間で営業を再開した。

 満席で忙しいにもかかわらず、取材に応じてくれた店主と奥さんの笑顔を写真に収めた。閉店後、2人は「来てくれてありがとう」と何度もお礼の言葉を口にしてくれた。

 「写真を撮る時、何が一番大事か見極めること」。記者として初めての取材を前に先輩記者が教えてくれたことだ。一瞬の出来事を撮るのは簡単ではないと、取材をしていて日々学ばされる。被災地を回る中で、悲痛な現場だけがシャッターを押す瞬間ではないと知った。どんな状況でも前を向く人たちの姿に、何度も背中を押してもらった。

 (報道部・中野采香)

最終更新:2019/12/25(水) 11:35
千葉日報オンライン

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