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早くもアニメ2期決定の話題作『BEASTARS』、その独特すぎる収録現場。主演の2人が「思わず赤面した」衝撃シーンとは?【対談:小林親弘×千本木彩花】

1/3(金) 16:01配信

エムオンプレス

肉食獣と草食獣が共存する世界。食肉が重罪とされるなか、全寮制の名門高校・チェリートン学園では生徒が食い殺される“食殺事件”が起きる。不安の渦巻く校内で、演劇部の変わり者・ハイイロオオカミのレゴシは『大きい身体』と『鋭い牙』とは裏腹に静かに生活していた。しかし小さなうさぎの女子生徒・ハルとの出会いが、そんなレゴシの心を揺り動かす。「彼女を求める気持ちは、恋なのか? 食欲なのか?」彼が本当に出会ったもの、それは自分自身の本能だった――。
(TVアニメ『BEASTARS』イントロダクションより)

【詳細】アニメ『BEASTARS』主演の2人 小林親弘×千本木彩花の対談

繊細なキャラクター描写とメッセージ性の強い物語で人気の原作コミックを、その魅力を損なうことなく3DCGという形で映像化。TVアニメ『BEASTARS』は、原作ファンのみならず、広くアニメファンに支持される作品となった。全12話の放送を終え、第2期の放送も決定! そんななか今回はレゴシ役・小林親弘、ハル役・千本木彩花という主演キャスト2名に、第1期を終えた手応えと、第2期に臨む心境を語ってもらった。

取材・文 / 山下達也(ジアスワークス) 構成 / 柳 雄大



「マイクを意識せず、相手の顔、表情を見ながら演技する」独特な収録現場

TVアニメ『BEASTARS』における声の収録は、映像の説得力や臨場感を高めるため、セリフ音声を先録りし、それに合わせて映像を作り込んでいくプレスコという手法がとられている。

その際、独自の工夫として音声の録音機材にガンマイクを使用。それぞれの声優がマイクスタンドの前で発した音声を分けて収録するのではなく、録音ブースをまるで舞台のように使って、声優陣が全身で演技している音をブース前方に配置したガンマイクで収録している。前代未聞のこの試み、実際に演じた声優陣はどのように感じているのだろうか? 

ーー レゴシ役の小林さんは今作がプレスコ初挑戦とのことですが、プレスコで演じてみた感想はいかがでしたか?

小林親弘 アフレコの場合、事前に台本とボールド(セリフボールド)と呼ばれるセリフのタイミングを示した映像をいただけるので、それを元にあらかじめ自分の中でテンポやリズムを固めていくことができます。プレスコの場合は、ボールドはもちろんあるんですが、きっちり合わせる必要がないのでとても自由度が高い。そこが難しさでもあり、楽しさでもあると感じました。

ーー ハルを演じている千本木さんはいかがでしょうか?

千本木彩花 私は過去に何度かやったことがあります。ただ、その時はマイクなどの収録機材は一般的なアフレコと同じで、感覚的にはドラマCDの収録に近いものでした。今回の『BEASTARS』はガンマイクを使って音声を収録していることを始め、以前やったプレスコとは全く違っています。

ーー どんな違いがあるのか、もう少し詳しく教えてください。

千本木 一般的なプレスコでは、役者はスタンドマイクに顔を向けて喋るのですが、ガンマイクを使う『BEASTARS』の場合は、マイクを意識せず、相手の顔、表情を見ながら演技することになります。身振り手振りで演技をしたり、相手との間を詰めたりといった動きもあるので、最終的にどういう演技をするのかが、皆が持ち寄ったものを合わせてみるまで分からないんです。それだけに、予想通りじゃないものが出てくるとすごく面白いですね。

小林 第1期では、何度も良い意味で予想を裏切られました。皆さんの予想外の演技に「こうくるかああっ!」って、うれしくなることばっかりでしたよ。

ーー それぞれの役者が持ち寄った演技を現場で合わせる際、事前に演技プランをすり合わせたりはしていましたか?

小林 そういうことはあまりしなかったと思います。

千本木 テストで一回やってみて、それでお互いのやりたいことが何となく伝わってくるんですよ。

小林 その上で、テストで起きたことをなぞろうとはせず、本番は本番で起きたことに合わせていって……その方が絶対に面白くなるんです。

千本木 だから、1回1回やることが違うんですよね。

服を脱がせる、押し倒す、取っ組み合いになる……印象的なシーンの数々はどうやって録っている?
ーー そのように芝居を作り込んでいく中で、特に印象に残っていることはありますか?

小林 いっぱいありますね。ただ、やはり一番印象に残っているのは、第1話の収録時の小野友樹さんかな。第1話には小野さん演じるルイが、セリフを覚えてこなかったゾーイの顎を掴んで締め上げるシーンがあるんですが、このシーンでは実際に小野さんが、ゾーイ役の室 元気君の顎を掴みながら演じてるんですよ(笑)。確か、それが初めて「役者がほかの役者に触れて行なった」演技でした。それを見て、皆、「あ、ここまでやるんだな」ってわかったんです。

千本木 実は私たち、『BEASTARS』がプレスコだってことは、現場に来るまで知らされていなかったんですよ。しかも収録方法もこれまでと全然違いますし。松見(真一)監督には「何をしてもいい」と言われていたんですが、実際、どこまでやっていいのかなと悩んでいたところに、小野さんがやって見せてくれました。

小林 そこからは挑戦の連続で、本当にいろいろ試しました。例えば、第9話でルイとレゴシが殴り合うシーンでは、迫力を出そうと実際に小野さんと殺陣のように動きをつけて演じてみたのですが、それだと音が散っちゃって、かえって迫力がなくなってしまうんです。だから、それ以降は格闘シーンでは過度に動かないようにしています。

あと、第2話ラストなどのハルとの距離が近くなるシーンでは、やっぱり同じマイクに入った方が、その距離感をリアルに感じられることがわかったので、実際に千本木さんの近くで、向き合って演じるようにしています。

千本木 実はあのシーンが、初めてレゴシ君と会話するシーンだったので、ものすごく緊張しました(笑)。でもあの時はハルも緊張していたはずなので、そのリンクはあってもいいんじゃないかなって。

ーー あそこはかなり色っぽいシーンだったと思うんですが、実際に現場ではどれくらいやっていたんですか?

千本木 もちろん服は脱いでません(笑)。でも服は掴みました。突然服を掴まれたらビクッとしますよね。その反応があればよくて、脱ぐ必要はないんです。

小林 あそこは、「ああ、僕は童貞なんだな」って気持ちで演じました(笑)。

ーー 千本木さんはどのシーンが印象に残っていますか?

千本木 私が個人的に印象に残っているのは第8話のジュノがルイを押し倒すシーンですね。あれはジュノ役の種崎敦美さんが、実際に小野さんを押し倒すような体勢で声を録っていたんですよ。ほかにも、いろんなシーンでしゃがんだり、寝っ転がったり……普通の収録では絶対にやらないような録り方をしていました。
※「種崎敦美」の「崎」は、たつさきが正式表記

ーー 今回、インタビュー前に収録の様子を拝見させていただいたんですが、下を向いて喋ったり、ブース内を走り回ったり、本当に今まで見たことがないような収録風景でした。

小林 ビルと取っ組み合いになるところ(第4話)では、本当にビル役の虎島貴明君と半ば抱きあうような体勢で演技しましたよ。

千本木 第7話のハルがレゴシの後ろに隠れて「やっほー」っていうシーンも、実際に小林さんの後ろに回って演技してました(笑)。

ーー このシーンはどうやって録ったんだろうって想像しながら観ると、また別の楽しみ方ができそうですね。

小林 マイクの前ではなく、その空間の中で演技ができていればいいということなんです。僕はこのやり方、好きです。楽しんでいますよ。どこかアナログ的なんですけど、これまでになかった新しさがありますよね。

あの第11話は「今思い出しても赤面してしまう」。小林(レゴシ)が絶賛したシーンとは?
ーー 『BEASTARS』は、記号的でない、それぞれ複雑な内面を持ったキャラクターが織りなす群像劇としての側面も魅力的ですが、お二人は自分の演じるキャラクターをどのように掴んでいったのでしょうか?

千本木 こういう言い方をすると語弊があるかもしれないんですが、私にとってハルはすごく演じやすいタイプのキャラで。キャラを掴むのに苦労したということはありませんでした。もちろん内面を理解しようとはしましたが、「こうやって喋ろう」みたいなキャラ作りはしませんでしたね。それよりも、彼女がいじめられている理由だとか、境遇だとか、そういうことを知っておくことが重要だと考えました。

小林 僕もそれに近いです。あらかじめ原作を読んで、レゴシが経験によってどんどん変わっていくことがわかっていましたから、あからさまに成長を匂わすような演技はしていません。最初はひたすら無機質なんだけど、ハルと出会い、ルイに目をかけられ、ビルとやり合っていく中で、1つひとつ経験を積み上げていって、自然と発する言葉も外向きになっていくだろう、と。現場で相手がいることを感じながら自分のセリフを喋っていれば、それで充分に成長が伝わるはずなんです。いや、そう言うとなんだか何も考えていないように聞こえてしまうんですけど(笑)。

千本木 こういう現場だからこそ、外面を作らずに、相手から投げられたものでスッと出てくるものがハルだし、レゴシということなんだと思います。私たちは、松見監督に選ばれたのだから、そのままでいいんじゃないかな、って。実際、そういうお話を最初の収録時にもしていただいたので、自信を持って、ありのまま、よけいなことをせずに収録に臨んでいます。

ーー そんなお二人のお気に入りのシーンを教えてくださいますか?

小林 これもいっぱいあります。それこそ1話に1つくらいずつありますよ……! 第1話はカイがルイに殴りかかるのをこんなふうに(劇中のポーズを取る小林さん)身体を張って止めるシーン、第2話はやっぱり最後のハルが脱ぎ出すところかなあ……(笑)。第3話、第4話は「アドラー」で、そして第5話は、レゴシがハルと食事するシーンが最高でした。

千本木 あのシーンは面白かったですね!(笑)

小林 あのシーンはモノローグの部分だけ別室で録音しているんですよ。だから後でできあがったものを観て初めて、相手が何を考えながら話していたかが分かるんです。特に僕はハルの「いや~、これ、キツいわ」っていうところが大好きで(笑)。ひどいこと思ってるのに、すごく良い笑顔なんですよね。

千本木 『BEASTARS』という作品はものすごくモノローグが多いので、収録時には気がつかなかった、相手の心情をオンエアで観て知るということがすごく多いんですよ。だから毎話、毎話すごく新鮮な気持ちで楽しめています。

小林 あとはシシ組に囚われたハルが遺書を読み上げるシーン(第10話)がイチオシですね。実はあの話の一部は、シシ組に乗り込んでいくレゴシのアクションにタイミングよく音声を合わせていくため、例外的にアフレコ形式で収録をしてるんです。それで収録前に、第10話と第11話の音声入り映像をあらかじめいただくことができたんですが、それがめっちゃくちゃ良かった! そして、その後のホテルのシーン(第11話)! 千本木さんの演技がものすごくリアルで、今思い出しても赤面してしまう……。身悶えしながら観ました。

千本木 そこまで言われると逆にプレッシャーですよ(笑)。私、まだ完成した映像を観られていないので(注:このインタビューは第10話の放送前に行われました)。でも確かに、ホテルのシーンはハル自身の心の動きもそうですし、少しずつ縮まってきていたレゴシとの心の距離もそうですし、ここまでで培ってきたものをしっかりと表現できればと思ってやっていました。

実は私、小林さんたちと違って、舞台に立ったことがないので、顔を見ながら、誰かと近付いて、触れあいながら演技をしたりした経験がなかったんです。でも、今回、『BEASTARS』であのシーンを演じ切れたことで、ハルだけでなく、私自身も変われたように感じています。

小林 すげぇ良いよ、すげぇ良かったから。ビックリするから! 自信をもって断言します。超良かったです!

千本木 もう、わかりました! わかりましたから!(苦笑) そういうことなので、すでに最終話までごらんになってくださった方も、ぜひもう1度見返してあげてください(笑)。

ーー (笑)。若干冗談めかしてしまいましたが、これまで舞台未経験だった千本木さんにとって、『BEASTARS』での経験は役者としても大きなものだったということですよね。

千本木 はい。すごく大事なものを、身をもって体験させていただきました。相手の演技を感じて、そこに心を動かして応じていくことの大切さは、分かっていたんですが、改めて理解できたような気がしています。

人の顔を見て話すなんて、日常的にやっていることなのにマイクの前に立つと忘れちゃったり、分からなくなってしまうんですよね。今回、初めて相手の顔を見ながら演技したことで、こんなにも表情から得られる情報が大きいのかって勉強になりました。また、それに対する自分自身の自然な身体の動きや反応についても知ることができて面白かったです。

「対立」ではなく「対話」が描かれていく作品の魅力は、第2期でも変わらない
ーー そして第2期、久々の『BEASTARS』流プレスコはいかがですか?

小林 第1シーズンの収録が春ごろだったので、およそ半年ぶりになりますね。いや、『BEASTARS』の収録は楽しいですよ。これ、誤解を与えてしまいそうで怖いのですが、ここまで“本気”になれる現場ってなかなかないです。

ーー といいますと?

小林 例えば恋人同士とか、殺し合うような相手でも、距離感・関係性ってあるじゃないですか? それが声を当てるお芝居だと、舞台とか実写ドラマなどと比べて、いろいろな要因からそれを表現しきれないというか、深く入り込めないことがあるんです。

千本木 それが『BEASTARS』の場合は、実際に相手がそばにいて、ダイレクトに感情をぶつけてきてくれるので、ものすごく心が揺れるんですよね。もちろん、これまでのやり方でも心が動く瞬間は何度もあったのですが、それよりもダイレクトにグサグサくるというか……。そういう快感があるんですよ。

何より顔を見てお芝居できるというのがすごく大きいと感じています。ボールドを見ながらマイクに向かって喋るやり方でも、相手と向き合っていることを感じることはできるのですが、実際には役者さんの顔が見れないので想像で補っている部分があって。でも『BEASTARS』のやり方では、実際に相手がこちらを見てくれているという実感がものすごく大きい。小林さん=レゴシ君が、笑ってくれたり、触れてくれたりする、その情報量の大きさは心に来ますね、やっぱり。

小林 役にのめり込めるという点では、すごく良いやり方だなと思います。

ーー そういう形で収録が始まった第2期ですが、その内容はどういったものになっていくのでしょうか?

小林 第1期と比べて、大きく変わってしまうということはありません。視覚的にはちょっとハードなシーンが増えるかもしれませんが、根本の部分は変わらず「対話」ですから。

千本木 「対立」ではないんですよね。このままのレゴシ君で物語が進んでいきます。

小林 レゴシは自分でちゃんと考えて動けるヤツなんですよ。そして、そんな彼が、第2期で出てくる新しい登場人物たちと向き合っていく、そのスタイルは変わっていかないはずです。

ーー 「対話」「向き合う」というテーマの作品を録るにあたっては、『BEASTARS』ならではのプレスコはベストなやり方かもしれませんね。では最後に、第2期を楽しみにしている読者のみなさんにメッセージをいただけますか?

千本木 『BEASTARS』の面白さは、第1期を観ていただいた人にはいまさら言うまでもありませんよね。現在は第2期の収録中なのですが、皆、この作品に魂を捧げるくらいの気持ちで取り組んでいます。その上で私たちには第1シーズンの蓄積もありますから、よりパワーアップしたものをお見せできるはずです。もちろんストーリーはより核心に迫っていきますし、オレンジさんの3D映像も最高です。もしまだ観ていないというお友だちがいるなら、ぜひともオススメしてあげてください!

小林 ほとんど言われちゃいましたが(笑)、この現場は本当に命を賭けられる……なんて言うと、ほかの現場は賭けられないのかと言われそうですが、そういうことではなく、うーん、なんて言えばいいのかな……。

千本木 人と向き合わなきゃいけない分、体力も使いますし賭ける覚悟がより必要になってきますよね。

小林 でも、それでいて気負わず作品に没頭できる楽しい現場でもあるんですよね。第2期では、そこに新しい人たちもたくさん入って来るので、皆で力を合わせて、もっと良い作品にしていきたいと思っています。ご期待ください。

千本木 第2期は可愛いレゴシ君がいっぱい出てきますからね。私はすっごく楽しみにしています(笑)。

早くもアニメ2期決定の話題作『BEASTARS』、その独特すぎる収録現場。主演の2人が「思わず赤面した」衝撃シーンとは?【対談:小林親弘×千本木彩花】は、【es】エンタメステーションへ。

最終更新:1/3(金) 16:01
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