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「鯨肉はあまっている」は本当? ノルウェーから「輸入」する理由 「日本市場の可能性はとても大きい」

1/13(月) 7:00配信

withnews

現代の日本ではクジラを食べる人がほとんどいないから、捕鯨で生産された鯨肉はあまっている――。そんな意見を聞くことがあります。でも、私が乗ったノルウェーの捕鯨船は、捕ったクジラの肉を日本へ輸出していました。あまっているのに、海外から買っている? 現地での取材と統計データから、この謎に迫ります。(朝日新聞名古屋報道センター記者・初見翔)

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「日本の市場はとても大きい」

私がこの夏、ノルウェーの捕鯨船「カトー号」に乗ることができたのは、いくつかの運が重なった結果でした。

そのひとつが、カトー号を操業している捕鯨会社「ミクロブスト・バルプロダクタ・エーエス」が日本に鯨肉を輸出しており、そのために日本法人を構えていたことでした。

以前「鯨肉はあまっている」という話を耳にしたことがあった私は、日本が輸入していた、という事実にとにかく驚きました。ということは、あまっているどころか足りないということではないのか、と。

ノルウェーに渡って捕鯨船に乗る前、ミクロブスト社の本社で、社長のウラ・ミクロブストさん(70)に話を聞きました。

同社は1912年に設立された、ノルウェー最大の捕鯨会社です。1974年に日本への輸出を始め、80年代に一度中止したあと、2008年に再開。2018年は150トンほどを輸出したそうです。

「日本の鯨肉市場の将来の可能性はとても大きい。これからもっと成長するだろう」と、期待を寄せます。

輸出の背景に「肉の好み」

船に同乗した、ミクロブスト社の日本法人社長、志水浩彦さん(43)が、鯨肉を日本に輸出する興味深い理由を説明してくれました。

ノルウェーの人が好む鯨肉は脂身の少ない赤身肉。ところが、ノルウェー近海のミンククジラは夏になると、脂の乗りがよくなる。7月はノルウェーの休暇シーズンとも重なるため、多くの捕鯨会社はそれ以降クジラ漁を中止し、休暇をとった後は他の魚の漁をすることが多いそうです。

でも、日本では脂がのっているほうが好まれます。そこでミクロブスト社はこの期間も漁を続けて日本に輸出し、収入を得ているというのでした。同社のカトー号は船内に冷凍設備を持っているノルウェー唯一の捕鯨船だそう。だからこそ刺し身用の新鮮な肉を輸出できる、という事情もあるとのことです。

また、ノルウェー国内の鯨肉消費量の減少も背景にあるようでした。

ノルウェー政府や業界団体にメールで質問したところ、年間の鯨肉生産量は2015年に835トンだったのに対し、18年は585トン。3年間で3割ほど減っています。

消費量については公式なデータがないそうですが、「400~500トンほどではないか」とのこと。ウラさんは「ファストフードの普及などで、若い世代を中心に、クジラに限らず海産品の消費が減っている」といいます。

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最終更新:1/13(月) 7:00
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