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「不審者」扱いされる父親、前兆となった「マンションであいさつしないルール」 誰もが通報されるリスク

1/15(水) 6:50配信

withnews

令和の時代に入って「ネット炎上」の主役に躍り出たのが「子どもと一緒にいる父親が〝不審者〟として通報される案件」だ。実は、平成の時代、マンションの住民同士の「あいさつ禁止」という前兆となる事件が起こっていた。他人を自分たちに不安をもたらす危険な存在としてしか捉えられない「他者の不審者化」と、直接的な関わりを避けて行政に指導や懲罰を丸投げする「コミュニケーションの権力化」。立場が変われば自分が排除される側になるのにもかかわらず、多様性の尊重が叫ばれる時代にあって境遇の異なる人々への想像力が育まれにくくなっている。(評論家、著述家・真鍋厚)

【画像】昨年「炎上」した西武の広告、安藤サクラさんの顔にぶつけられたもの

「通報したのはママさんグループだったみたい」

2019年8月、エッセイスト犬山紙子さんの夫でミュージシャンの劔樹人(つるぎ・みきと)さんが、新幹線内で娘(2歳)をあやしていたところ、乗客に誘拐を疑われて警察に通報されたことが大きな話題となった。

劔さんがTwitterなどでその一部始終をつぶやいたことがきっかけで、「育児する男性」に対する社会の見方についての議論が巻き起こり、「プチ炎上」も引き起こした。

実はこの事件の2カ月前に、元プロ野球選手の落合博満氏の長男である声優の落合福嗣(ふくし)さんが、同じく娘(3歳)と公園で遊んでいた際に、警察官から職務質問を受けたことがあるとTwitter上でつぶやいていた。

福嗣さんのツイートは、異例の反響を呼んでネットメディアを中心に取り上げられた。本人が以下のツイートで説明した通り、通報したのは公園にいた母親たちだった。

そもそもこのエピソードは、「公園のベンチに座っただけで通報されたおじさん」に関するネットメディアの記事への引用リツイートとして書き起こされたもので、平成から令和へと悪化の一途をたどっている「不審者の時代」を象徴する投稿といえた。

「あいさつをしないように決めて下さい」

「不審者の時代」のターニングポイントとしてあげられるのが、2016年(平成28年)に電子掲示板やソーシャルメディアで炎上を巻き起こした「あいさつ禁止のマンション」だだ。

議論の始まりは、2016年11月4日付の神戸新聞の読者投稿欄だった。マンション内であいさつを「しない」ことがルール化されることについて、管理組合理事が「世の中変わったな、と理解に苦しんでいます」という困惑気味の意見が掲載された。

この投稿がTwitter上で拡散(記事の画像に「これが最先端の日本の近所付き合いです」と付言されたツイートだけでも2.6万リツイートもされた)されると、ネットメディアが取り上げ、テレビ番組が後を追った。

投書の内容は以下の通りだ。

<住んでるマンションの管理組合理事をやってるんですが、先日の住民総会で、小学生の親御さんから提案がありました。「知らない人にあいさつされたら逃げるように教えているので、マンション内ではあいさつをしないように決めて下さい」。子どもにはどの人がマンションの人かどうかは判断できない。教育上困ります、とも。すると、年配の方から「あいさつをしてもあいさつが返ってこないので気分が悪かった。お互いにやめましょう」と、意見が一致してしまいました。>

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最終更新:1/15(水) 6:50
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