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AIを発明者とする特許出願、欧州特許庁が認めず

1/6(月) 12:03配信

ZDNet Japan

 欧州特許庁(EPO)は、人工知能(AI)を発明者とする2件の特許出願を却下している。

 特許2件「EP 18 275 163」と「EP 18 275 174」はそれぞれ、先進的な表面形状を有する食料容器と、救助の要請時に「より注意を引くための(光を用いた)デバイスと手法」と説明されており、「DABUS」(Device for the Autonomous Bootstrapping of Unified Sentience)を発明者として出願されていた。

 Imagination Enginesの最高経営責任者(CEO)Stephen Thaler氏によって生み出されたDABUSは、「それぞれが言語的や視覚的、聴覚的などの性質を持ち得るとともに、相互に関連した記憶を保持した、連結されていない数多くの神経回路網のかたまり」から構成されたAIだと説明されている。

 これらの「神経回路網」は絶え間なく結合と分離を繰り返し、この特許出願で描写されているような複雑なコンセプトを生み出すという。

 特許は2019年8月に、サリー大学のRyan Abbott教授が率いる「Artificial Inventor」プロジェクトのチームらによって英国と米国、欧州で出願された。

 現時点での規則では、企業が実務上の発明者としての権利を独占できないよう、特許の出願には発明者として人間(自然人)が関与しなければならないとされている。このため、AIが何らかの「所有権」を持つという考え方は、従来のスタンスと対立するものとなっている。

 同チームは「発明は自然人に制限されるべきではない」と主張するとともに、「もしも機械を自然人だと捉えた際に、発明者(としてのその他)の基準を満足できるのであれば、その機械は発明者としても認められるべきだ」としている。

 未来においてAIがアイデアや価値ある発明の一般的な源となるのであれば、この問題は避けて通れず、どこかの時点で特許機関が取り組まなければならない。AIによって生み出された成果が知的財産(IP)保護の権利を持つかどうかというこの問題に対して、EPOはまだ取り組む準備ができていないようだ。

 EPOは12月、次のように述べていた。

 「11月25日に行われた非公開の口頭審理で出願者の主張を聞いた上で、EPOは、出願書類で指定する発明者は機械ではなく人間でなければならないという欧州特許条約(EPC)の要件を満たしていないとの理由から、EP 18 275 163とEP 18 275 174を却下した。根拠を示した決定は2020年1月に公表する予定だ」

 Abbott氏は8月、現在の特許法は「時代遅れ」になっており、現在の技術の進歩に対応するための大改革がなされない限り、「AI開発者の動機付けがないことで、人類による華々しい探求という新たな時代への道を阻むものとなる」と述べた。その一方で評論家らは、AIがイノベーションの自動化に向けた貴重なツールになる可能性こそあるものの、そういった考えは単一の実体によって所有される必要があるとは限らないと主張している。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

最終更新:1/6(月) 16:54
ZDNet Japan

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