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歩道橋男児投げ落としから13年、答えは見えたか 本人の思い尊重と再犯防止のはざまで 司法×福祉、次の10年へ(3)

1/7(火) 7:12配信

47NEWS

 2007年1月、大阪府八尾市の近鉄八尾駅前で3歳の男の子が歩道橋の上から男に投げ落とされた。男児は一命を取り留めたが、不可解な犯行は社会に衝撃を与えた。逮捕、起訴された森田大介(仮名、54)には軽度の知的障害がある。通所先の施設で人間関係に不満があったことが犯行の動機とみられた。森田は4年余りの服役後、府立の訓練施設を経て、以前と同じ障害者施設に戻った。(敬称略、共同通信=真下周)

 ▽手厚い見守りが裏目に

 施設の運営元は同市の社会福祉法人「ゆうとおん」。再犯しないよう細かなルールを定め、手厚い見守り態勢をつくったが、森田はかえってストレスを募らせた。戻って1年足らずの16年3月、施設を飛び出すと、路線バスに乗り込んで高齢女性の首を絞め、再び服役した。

 「本人に寄り添った支援ができず申し訳なかった。本人が望むなら何度でも引き受ける」。同法人の理事長、畑健次郎(72)は再度受け入れを表明。森田も愛着がある同法人に帰りたいという強い希望を持っていた。

 だが、障害のある刑務所出所者を福祉につなぐ大阪府の「地域生活定着支援センター」や保護観察所は、再犯を防げなかった法人の支援力を疑問視した。「被害者の気持ちも無視できない」。ゆうとおんを帰住先に認めず、刑務所も畑ら同法人の関係者に面会を許可しなかった。

 ▽精神科病院に入院

 約1年後に出所した森田は、いったん精神科病院に入院した。その間、定着支援センターは新たな受け皿を模索。行政や研究者、協力関係にある障害者施設と勉強会を重ねた。「再犯は本人にとっても最大の不利益」との観点から、犯罪学の最新知見を踏まえて森田の成育歴や行動原理を分析。再犯防止の手だてを探った。

 ただ、森田は希望がかなわない状況にいらだち、病院内の物品を壊すなど問題行動を繰り返した。「本人の自己決定がないがしろにされ、支援者側の事情で入院させられている」。見かねた畑が大阪弁護士会に対応を要請すると、センターは一転、「ゆうとおん」に帰す方針を決めた。森田は入院から半年後、18年3月に退院した。

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最終更新:1/11(土) 23:14
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