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京都市長に聞いてきた、新たなオーバーツーリズム対策、世界も注目する「京都モデル」とは?

1/7(火) 13:50配信

トラベルボイス

世界を代表する観光都市が観光客の増え過ぎによるオーバーツーリズム問題に対峙しなくてはならない時代を迎えている。観光産業が大きな経済波及効果や雇用効果をもたらす一方で、押し寄せる観光客が地域住民や環境に負の影響をもたらす状況は、観光に関わるすべての地域・事業者にとって大きな課題だ。

そんなオーバーツーリズム問題が指摘される都市のひとつ、京都。「市民の暮らしを大切にしなければ京都が京都でなくなる。あらゆる課題に真正面から向き合って解決していく」と話す京都市長の門川大作氏に、これまでの観光政策から今後重視するポイントまで聞いてきた。

京都市は昨年11月、文化と観光で課題を解決する「観光課題解決先進都市」への方針を打ち出し、「市民生活と調和した持続可能な観光都市」の実現に向けた方向性を発表した。その重点項目には、オーバーツーズムから発生する3つの課題への対応として、これまでの方針から大きく転換した内容が盛り込まれた。また、昨年12月に開催された「国連世界観光機関(UNWTO)/ユネスコ観光と文化をテーマとした国際会議」では、これまでの京都市の取り組みが「京都モデル」として活用を推進するよう、会議の「観光・文化京都宣言」に明記されている。

市民の安心安全・文化の継承を重視、宿泊施設は「お断り」も

京都市が昨年11月に発表した「『市民生活との調和を最重要視した持続可能な観光都市』の実現に向けた基本指針と具体的方策について」(中間とりまとめ)は、これまでの成果と今の課題を再検証し、観光政策の深化、または転換を図ろうというもの。そこで定めた3つの柱が(1)混雑、(2)宿泊施設の急増、(3)観光客のマナー違反、への対応だ。50の事業で、市民生活と観光の調和に向けた課題解決を重点的に行なっていく。

とりわけ象徴的なのが、(2)宿泊施設の急増に対する方針転換。市民の安心・安全、地域文化の継承を重要視しない宿泊施設の参入は「お断り」を宣言し、これまでの宿泊施設の誘致施策から大きく舵を切ったのだ。これは、想定を超えたスピードで宿泊施設が急増したことによるという。

かつて、京都市への旅行者は日帰り客が多く、宿泊施設を充実させることは大きな課題の一つだった。そこで2016年に当時の約3万室から2020年までに4万室へ増やす方針を掲げたが、わずか3年後の2019年3月には約4.6万室まで増加。この間に、旅館業法上の宿泊施設のひとつ「簡易宿所」が急増するという想定外の事態も同時進行した。違法民泊の根絶を目指して、日本一厳しいと言われる民泊条例などで規制を行なってきたことも背景にあるとみられる。

門川市長は宿泊施設の増加が「想定よりもあまりに急激、かつ、京都駅周辺に集中している」と「お断り宣言」の理由を説明。京都市で必要性が高まっているオフィスや住宅等への対応に、「あらゆる都市計画の手法を駆使して実行する」との考えだ。

ただし、宿泊施設の増加によって、京都市の宿泊客数はこの3年間で20万人増加しており、これは観光消費額の増加や雇用創出、朝・夜観光の促進による混雑の分散化にも寄与している。今後の宿泊施設の受入では「将来を展望したより質の高い施設が大切」とし、地域との連携による文化継承や環境対策、防災、バリアフリーなどの新たな観点を含めた、質の向上を図る機会とする方針だ。

例えば昨年、北区に開業した「アマン京都」は100名の正規雇用を受け入れており、門川市長は「京都の75%を占める森林部の集落の近くに、地域の文化と伝統産業、自然を継承する宿泊施設ができるのは歓迎」と話す。他にも、ホテル近くの特別支援学校に調理スタッフを講師として派遣し、卒業生が調理スタッフとして働く例を紹介。「共生社会に文化と観光が大きな可能性を秘めている。関係者全員が喜ぶ宿泊施設を歓迎したい」と力を込める。

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最終更新:1/7(火) 13:50
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