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新たに発掘された初公開作品も多数。Bunkamura ザ・ミュージアムで「永遠のソール・ライター」が開幕

1/9(木) 9:13配信

美術手帖

 1950年代からニューヨークでファッション・フォトグラファーとして活躍、80年代に商業写真から退いてからも、2013年に死去するまでニューヨークを拠点に制作を続けた写真家、ソール・ライター。2017年には日本で初回顧展「ニューヨークが生んだ伝説 写真家
ソール・ライター展」が開催され、高い評価を得た。

 そのソール・ライターの展覧会の第2弾として、「ニューヨークが生んだ伝説の写真家
永遠のソール・ライター」がBunkamuraザ・ミュージアムで開幕した。本展は、2017年の回顧展以降に発掘された作品を選び出し、豊富な資料とともに展示。ソール・ライターの創作にさまざまな角度から迫っている。

 展覧会は第1部「ソール・ライターの世界」と、第2部「ソール・ライターの仕事場(アーカイブ)をたずねて」の2部構成。

 第1部「ソール・ライターの世界」では、初期のモノクロ作品から、パイオニアとも称されるカラー作品、さらにはデジタルカメラで撮影した晩年の作品までを展示する。


 なかでも、ソール・ライターのキャリアにおいて重要となる『Harper's BAZAAR』をはじめとする雑誌に掲載されていた、ファッション写真のアーカイブは必見だ。生涯を通じてソール・ライターがこだわった鏡や窓ガラスへの映り込みの表現が、モデルのポートレートに華を添えている。


 また、00年以降にデジタルカメラで撮影したカラー作品は、20世紀から21世紀にかけて写真技術が大きく変化するなかでも、ソール・ライターが柔軟にそれを受け入れながら、写真への情熱を変わらず持ち続けていたことが伝わってくる。


 作品の礎となったコンタクトシートも展示。なかには初期のソール・ライターの支援者で、彼の絵画をいち早く購入したダンサーのマース・カニンガムが映っているものもあり、当時のふたりの関係性をうかがうことができる。


 第2部は「ソール・ライターの仕事場(アーカイブ)をたずねて」。ソール・ライターの生前からアシスタントとして活動し、その作品を世に出すことに貢献したマーギット・アーブにより創設されたソール・ライター財団。カラー作品だけで8万点とも言われるソール・ライターの作品のアーカイブ化に取り組んでいる。この財団のプロジェクトを通して、ソール・ライターの実像に迫るのが第2部の狙いだ。


 とくに注目を集めそうなのが、プリントされることなく放置されてきた、数万点におよぶ未発表のカラー・スライドだ。デジタル化したそれらのスライドを、かつてソール・ライターが行っていたプロジェクターによるスライド・ショーのように展示する。写真家・井津由美子が撮り下ろした、ニューヨークのアトリエや周囲の街並みの写真も左右に映し出され、臨場感あふれる画面からソール・ライターの生活を垣間見ることができる。


 また、ソール・ライターは小さいサイズの写真を偏愛しており、焼き付けた写真を手で小さく破り、それらを「スニペット」と名づけて愛好していた。今回は家族や恋人、知人、猫などの身近な女性を撮影したそれらを集め、各所で展示する。


 さらに、ソール・ライターを支えたふたりの女性に焦点を当てた展示も第2部では見どころだ。父親の希望に背き、ニューヨークで写真家となったソール・ライターをもっとも理解していた妹のデボラ。『Harper's BAZAAR』のモデルであり、また画家として多くの作品を残した恋人のソームズ・バントリー。展示では、このふたりを撮影した写真作品はもちろん、ソームズが描いた絵画作品数点なども世界初公開する。

 他にも、当初は画家を志していたソール・ライターのスケッチや、生涯撮影し続けたセルフ・ポートレートなど、写真家像を浮かび上がらせる多数の資料が展示されている。


 豊富な初公開作品や資料により、前回の回顧展にも増して充実した展示が実現した「永遠のソール・ライター」。初めてソール・ライターの作品を目にする人にも、前回の展示を訪れる人にも、新たな発見を与えてくれることだろう。

 

最終更新:1/27(月) 11:04
美術手帖

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