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人工透析にならないための検査・血圧管理・常用薬の選択

1/9(木) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 動脈硬化を進行させる糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病は、「慢性腎臓病(CKD)」の大きな発症リスクになる。血液をろ過し、尿をつくるという重要な働きをしている腎臓は、毛細血管の塊のような組織だからだ。

 特に、末期腎不全まで進行し、透析治療に至る最も多い原因は「糖尿病性腎症」。透析を受けている患者の39%が、糖尿病によって腎不全が引き起こされているのだ。

 糖尿病によって腎臓はどのように破壊されるのか。腎臓病と透析治療を専門とする「みたかの森クリニック」(東京都武蔵野市)の菊池太陽院長が言う。

「糖尿病では血糖が慢性的に高くなって、全身の血管に障害を与えます。毛細血管が毛玉のように丸まってできている糸球体という構造と、それを包む袋状の構造、袋からつながる尿細管をまとめて『ネフロン』といって、1つの腎臓に約100万個あるといわれています。糖尿病で高血糖の状態が続くと糸球体が壊れ、ろ過の不全が生じ、血行動態の異常も生じてネフロンも壊れ、ネフロンの数自体が減少して腎不全が進行するのです」

 腎不全が進行すると尿検査で(+-)(+)として表示されるのが「尿タンパク」。しかし、はっきり尿タンパクが検出されてからでは腎不全が急速に進むので遅すぎる。そこで糖尿病患者が注目したい検査項目が「尿中アルブミン検査(同時に尿中クレアチニン値も測定)」。「微量アルブミン尿」は糖尿病性腎症の早期に検出され、腎不全の進行を食い止めるには遅くとも微量アルブミン尿までの段階で治療をすることが大切という。一方で、糖尿病では尿タンパクが乏しいCKDも存在するので注意が必要だ。

■痛み止めは要注意

 高血圧が原因で起こるCKDの「腎硬化症」も、透析に至る原疾患では3番目に多い。

「腎硬化症は『細動脈硬化』といって、糸球体に血液を送る細い動脈を含めた小・細動脈に、高血圧による圧力がかかり続けます。血管壁が厚くなって血管内腔が細くなった結果、糸球体の血流が悪くなり、ネフロン数も減少します。そして、やがて腎臓そのものも硬く、小さくなります」

 腎硬化症では血尿はなく、尿タンパクも陰性か軽度にとどまるため、発見が遅くなるケースがある。早期発見のポイントはGFR(糸球体ろ過量)推算値の低下、長期にわたる高血圧の病歴、夜間尿の出現などだ。

 しかし、日本人の高血圧の大半を占める本態性高血圧(原因不明)による腎硬化症では、正しく血圧管理を行えば発症を予防したり、進行を遅らせたりすることができるという。

 このように生活習慣病の人は、原疾患となり得る持病をきちんと治療し、コントロールすることがCKD予防の重要なポイントになるが、治療に用いる多くの薬剤は作用機序や排泄などで腎臓と密接な関連がある。そのため何らかの持病で服用している薬剤が腎臓に負担をかけ、腎臓の機能を悪化させる場合もあるので要注意だ。

「CKDや高齢、脱水などの人で最も注意すべきは、使用頻度の多い『非ステロイド抗炎症薬(痛み止め)』です。座薬や湿布であっても内服薬と同様に腎機能を悪化させる可能性があるので使用量の減量が必要です。疼痛のあるCKDの患者さんには『アセトアミノフェン』の方が安全と考えられますが、どちらも長期にわたり使うのは避けましょう」

 市販薬の「H2ブロッカー(胃薬)」や「アルミニウム含有薬(胃薬や鎮痛薬)」などもCKD患者は減量や使用中止が必要になる。

 処方薬では、CKDや高血圧症に使うレニン・アンジオテンシン系阻害薬や、糖尿病治療薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗不整脈薬、高尿酸血症治療薬、骨粗しょう症治療薬などもCKD患者は減量や中止が必要。かかりつけ薬局や初めて受診する医療機関には、自分の最新のGFR推算値を伝える習慣を持つといいという。

 中高年になれば、持病の一つや二つはつきもの。特に高齢者は常用薬の種類が増え、しかも腎臓での薬の排泄能力が低下する。気になるようなら、かかりつけ医師や薬剤師に相談してみよう。

最終更新:1/9(木) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

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